基本情報
【書籍情報】
書名 | 究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル |
原題 | The Ultimate Sales Letter: Boost Your Sales With Powerful Sales Letters ※最新の第4版では副題は「Attract New Customers. Boost your Sales.」 |
著者 | ダン・S・ケネディ(Dan S. Kennedy) |
監訳 | 神田 昌典 |
訳者 | 齋藤 慎子 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
発売日 | 2007年3月30日 |
価格 | 1,760円(税込) |
頁数 | 230ページ |
【目次】
監訳者まえがき
初版まえがき
第1章 書く前の準備
第2章 書く手順
第3章 汎用性が一番高いセールスツール
第4章 百万ドルの秘訣―「連続」「繰り返し」の効力
第5章 「ハイテク」セールスレター
おすすめのポイント
コミュニケーションとは売り込むことである
【おすすめ度】
★★★★★(5/5)
1.書く前の準備から発送までの手順を網羅している
2.ダンが実際に使っている手順なので実践性と信頼性がある
3.豊富な実例を載せて解説している
4.ダンの文章は読んでいて楽しい。感情に訴えかけるテクニックが実践されている
5.アメリカの本ではあるが日本でもすでに実績ありなので気にする必要なし
1.ブログなどに使う場合は自分で考えて応用する必要がある
2.何度も読み返し実践して身に付ける必要がある
3.現在だと悪質なものもある

こんな人におすすめ!
・文章で売りたい、文章を売りたいと思っている人
セールスライティングの代表的な本なので、文章で稼ぎたいのなら読んでいないのは論外でしょう。


感想
『究極のセールスレター』の良いところ
1.書く前の準備から発送までの手順を網羅している
本書ではセールスレターを書く前の準備から始まり、発送するまでの手順が網羅されています。
特に中核となるのは第2章「書く手順」です。
この第2章ではダンが実際に行っているセールスレター作成と発送の手順が28のステップで紹介されています。
分量は全230ページ中166ページを占めており本書のメインとなります。
私が気になったものを3つほど紹介します。
【ステップ3 不利な点を告白し、欠点は包み隠さず伝える】
これは本当に重要だと思いますね。
物を買う時に知りたいのは長所よりもむしろ短所です。
つまり、買ったときに損したくないんですよ。
「欠点を伝える」という技術はどのセールスライティングの本にも書いてある超重要技術です。
にもかかわらず、ほとんどのブロガーやアフィリエイターがやりません。
実際にアフィリエイトが貼ってあるブログをいくつか見てみてください。
たいていその商品の良いところしか書いてませんからね。
おそろしいことに「セールスライティング 本 おすすめ」とかで検索して上位表示している記事でさえ欠点を書いてないものばかりです。
本当に紹介している本を読んでるのでしょうか?
欠点を伝えることのメリットはいくつかありますが、最大の理由は信用を生み出せることでしょう。
私は商品紹介記事を見るときは真っ先に欠点が書かれているかを見ます。
欠点が書かれていない記事はほとんど読まないですね。
【ステップ7 価格ジレンマに打ち勝つ】
およそ22ページも割いて価格に関する9つの手法を紹介してくれています。
私が一番参考になったのは、「リンゴとミカンを比べる」というものですね。
同種の商品同士で価格比較するのではなく、効果が等しい別のサービスと価格比較をするというものです。
本書の中で例として挙げられているのはビジネス向けオーディオテープです。
ダンの扱っているテープは相場の2倍くらいの価格なのですが、この不利を覆したい。
そこで、同業他社のテープとではなく、同じ効果が得られるセミナーの価格と比較したわけです。
セミナーの費用はテープよりもはるかに高額ですからね。
相場の2倍のテープでも安く感じてしまうのです。
【ステップ13 追伸を工夫する】
項目に「工夫する」とありますが、それよりも重要だと思ったのは、そもそも追伸は絶対必要という事実です。
追伸の重要性を強調しているライティングの本は他にもあるのですが、私はあまり意識していませんでした。
どうやら私が思っていたよりも追伸は読み手に与える影響が大きいようです。
一応このブログの各記事の最後に「まとめ」ということで追伸っぽいことは書いていました。
この最後の締めの部分は適当ではダメで、気合を入れて書かなくてはいけないということを思い知った次第です。
以上で3つほど紹介しましたが、本書では全部で28ステップ紹介されています。
いずれもちょっとした工夫でできることなので、売るための文章を書いている人には大いに参考になると思います。
2.ダンが実際に使っている手順なので実践性と信頼性がある
本書はダンが実際に使っている手順を解説しているとのことです。
この本には、私がそうした仕事をするうえで使っているのとまったく同じプロセスしかももっとも確実な戦略を紹介している
8ページ
読んでみると確かに現実味のある実践的なテクニックが多いです。
セールスレターが確実に配達されるようなデザインや切手を貼った方がいい、なんてことまで書いてあります。
小手先のテクニックが紹介されているのかといえば、そんなことはありません。
まあ、小手先っぽいことも書いてあることは書いてありますが。
例えば、「封筒に書くあて名は手書きしろ」なんて書かれています。
当たり前ながら、「居住者の皆様」「お客様」などの一般的な表記は論外。
必ず実名を書け、とのことです。
コミュニケーションの古典であるデール・カーネギーの『人を動かす』では「名前を覚える」という項目の中で相手の名前を覚えて呼ぶことの重要性が説明されています。
本書『究極のセールスレター』の中では複数個所であて名についての技術が解説されています。
あて名についてのポイントは2点です。
①必ず相手の実名を書く
②できれば手書きする
受け取った相手がセールスレターそのものに好印象を抱くようにしろ、ということですね。
単なる小手先のテクニックではなく、コミュニケーションの基本を押さえているわけです。
3.豊富な実例を載せて解説している
28のステップの全てに何らかの具体例があります。
抽象論を説いている本ではありません。
ダンが実際に使っている技術を紹介しているだけあって、実例付きで説得力があります。
もちろん自分で使ってみる場合には自分のケースに合わせて応用する必要があるでしょう。
それでも参考例があるというのは助かります。
本書はアメリカの本であるため、広告そのものの現物は少ないです。
英語で書かれた現物もあることはあります。
たいていは翻訳されたものになってしまっているのはちょっと残念かもしれません。
4.ダンの文章は読んでいて楽しい。感情に訴えかけるテクニックが実践されている
本書『究極のセールスレター』はユーモアに溢れているので単純に読んでいて楽しいということがあります。
ステップ11の中に「楽しいものにする」とあるように、ダン自身も実践しているのでしょう。
ダンの本は確かに読んでいて楽しいものが多いんですよ。
別の記事で彼の著作である『大金持ちをランチに誘え!世界的グルが教える「大量行動の原則」』を紹介しているのですが、こちらもジョークが効いていて楽しめます。


『大量行動の原則』については訳者の枝廣さんの性格もあるのか、原文の意図を汲み取って意訳されているようでダンの人柄が感じられる文体になっています。
『大量行動の原則』に比べると本書『究極のセールスレター』はやや固い感じはありますが、十分楽しめる文章になっています。
一気に読めてしまうのではないでしょうか。
私は二日で読み終わってしまいました。
内容が薄いからではありませんよ。
5.アメリカの本ではあるが日本でもすでに実績ありなので気にする必要なし
海外の本だと決まって「日本じゃ通用しない」みたいなレビューを見かけるんですけど一切心配無用です。
まず最初の「監訳者まえがき」で神田昌典さんの方から、本書の技術がすでに日本で実践されて結果を出していることが解説されています。
ニキビ肌用化粧品のプロアクティブです。


「初版まえがき」を書いているのはプロアクティブを扱っているガシーレンカーの社長であるグレッグ・レンカー氏になります。
身内同士で褒め合っていても信用できない、という意見もあるでしょう。
もちろん同意します。
本書の効果を最も担保しているのは、実際に文章で結果を出している日本のインフルエンサーが複数人いる事実なんですよ。
2人ほど紹介します。
一人目は人気ブロガーのヒトデさんですね。
YouTubeとブログの両方でおすすめしています。
もう一人はnote作家をやっているクロネコ屋さんです。
億単位で稼いでいる人たちが利害関係なしにおすすめしていますから、内容は折り紙つきと言っていいでしょう。
『究極のセールスレター』の注意点
1.ブログなどで使う場合は自分で考えて応用する必要がある
本書は書名に「セールスレター」とあるように、紙のセールスレターを題材にしています。
ブログなどのネットにおける広告活動には直接は対応していません。
したがって、ブログやアフィリエイトで使用する場合には自分で考えて本書の知識を上手く応用する必要があります。
ダン本人が自身のウェブサイトを持って活動しているので本書の知識がネットビジネスに使えることは間違いないでしょう。
ヒトデさんやクロネコ屋さんがおすすめしていることからも明白です。
一応、第5章「ハイテク」セールスレターでは、インターネットサービスに本書の知識が応用できる旨が書かれています。
4ページしかないのでフォロー程度でしかありませんが。
やはり自分で考える必要があります。
2.何度も読み返し実践して身に付ける必要がある
本書は情報量が多いです。
一度読んだだけで紹介されている技術が身に付くはずがありません。
文章を書きながら、常に読み返して実践していく必要があります。
3.現在だと悪質なものもある
セールスライティングのデメリットの一つはうさんくさいということでしょう。
残念ながら本書にも悪質に思えることが書かれています。
気になったのは2点です。
①犯罪の自白が書かれている
②顧客から他人の個人情報を教えてもらおうとしている
①について、窃盗防止コンサルタントが実際に使ったセールスレターが具体例として紹介されています。
このセールスレターは従業員が泥棒を働いている店舗の経営者向けのもので、この窃盗防止コンサルタント自身がかつて自分の勤めていた店舗から泥棒していたことを書いているのです。
ダン本人の行為ではないとはいえ、いい気分はしないですね。
あおる技術の具体例なんですけどあおりすぎでしょう。
②について、すでに自分のサービスの会員になっている人に向けて、会員になってくれそうな人を紹介してくれるようにお願いする広告の例が載せられています。
その広告中で「ご紹介くださる方の住所・氏名・電話番号を送っていただけましたら幸いです。」とあるのです。
ダメでしょ。他人の個人情報を勝手に送ってもらうのは。
古い本だからか、アメリカの話だからかなのは分かりませんが。
金儲けはきれいごとではないことは分かりますが、法に触れること・触れる可能性のある事はさすがにダメだと思いますね。
おすすめ度★5の理由
細かい問題点はあるかもしれませんが、セールスライティングを学べる代表的な書籍であることは間違いありません。
内容も分かりやすく実践的なものが書かれています。
そんなわけで文章で稼ぎたい人は読まない理由がありません。
ジョセフ・シュガーマン氏の『全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術』やロバート・W・ブライ氏の『セールスライティング・ハンドブック』などの類書もあります。
しかし、内容に信頼性のあるセールスライティングの本は数が少ないのも事実です。特に邦訳は。
文章で稼ぎたいのであれば全て片っ端から読むくらいじゃないと話にならないでしょう。
プロになるわけですから。
文章で稼ぎたい人は必読必携だと判断して★5つです。
まとめ
本書はセールスライティングの本の中でも読みやすく実践しやすい部類に入ると思います。
セールスライティングの技術を磨きたい人は本書から始めるのがいいと思います。
私も複数のセールスライティングの本を所有していますが、本書が一番読みやすいように感じます。
ヒトデさん・クロネコ屋さんといった有名ブロガーが紹介している時点で、文章で稼ぎたい人は必読であることは間違いないと思います。
東洋経済新報社から発売されているダン・S・ケネディ氏の書籍は全部で3冊あります。
・究極のマーケティングプラン
・大金持ちをランチに誘え!
・究極のセールスレター
この3冊のうち、本書『究極のセールスレター』以外の2冊はすでに絶版になってしまっています。
本書も古い本なので時間の問題でしょう。
紙の書籍が欲しい方は早めに購入しておいた方がいいかもしれません。

