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【読書ノート】反応しない練習(草薙 龍瞬)

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目次

おすすめのポイントと基本情報


【おすすめ度】
★★★★(5/5)

【おすすめのポイント】
原始仏教の入門書としてこれほど分かりやすい本はないでしょう。
本書を読めば分かりますが、原始仏教は現代のマインドフルネスやセルフコンパッション、瞑想といった西洋的な感情コントロールの源流です。
決して宗教色の強い概念ではありません。

感情は事柄に対する反応から始まる、という基本を理解し、無駄な反応をやめることで負の感情による心身へのダメージを減らすことを目指します。

この本一冊を読めば、怒りや悲しみ、妬みなどの感情がきれいに無くなるなどということはありませんが、感情コントロールの第一歩としてこれほど適した書籍はないのではないかと思います。

【おすすめしている人】※リンク先はYouTube
・中田敦彦さん
【反応しない練習①】あらゆる悩みが消えていくブッダの考え方(The Practice of Non-Reactivity -Teachings of the Buddha)
・マコなり社長
【超要約】人生で必ず読むべき本 100選

書籍情報

書名:反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
著者:草薙 龍瞬
出版社:KADOKAWA
発売日:2015年7月31日
価格:1,430円(税込)

目次

はじめに
第1章 反応する前に「まず、理解する」
 ・悩みをなくそうとしない。「理解」する
 ・その問題の「理由」に着目する
 ・心の状態を「きちんと見る」だけで
第2章 良し悪しを「判断」しない

 ・「ムダに判断」していませんか
 ・“慢”という心のビョーキに気をつける
 ・「つい判断してしまう」からの卒業
 ・「自分を否定しない」。どんなときも
 ・「本物の自信」をつけるには?
第3章 マイナスの感情で「損しない」

 ・感情を、上げもせず、下げもせず
 ・困った相手と「どう関わるか」
 ・大原則─“快”を大切にしていい
第4章 他人の目から「自由になる」

 ・他人からの評価を「追いかけない」
 ・うっとうしい相手から「距離を置く」
 ・もう較べない。自分のモノゴトに集中!
第5章 「正しく」競争する

 ・その競争は「妄想」かもしれない
 ・競争の前に「準備」をしよう
 ・「正しい動機」を用意する
 ・“五つの妨げ”に気をつける
 ・「負けた」という思いから自由になる
最終章 考える「基準」を持つ
 ・正しい心に「戻る」。何度でも
 ・いつでも“正しい方向”を忘れない
 ・自分の人生を「信頼する」

読書ノート

『反応しない練習』を読む目的

心を平静に保ち、本来自分が集中すべきことに集中できる精神状態を維持する

ということに尽きるでしょう。

私たちが生きている社会にはストレスが付き物です。
仮に恵まれた環境で生活していても、原始仏教でいうところの四苦八苦からは逃れようがありません。

人生に不可避の苦しみに上手く対応し、自分の人生を良くするための行動に集中することこそ本書を読む目的です。

『反応しない練習』を読んだ感想

私が『反応しない練習』を読んで感銘を受けたのは以下の2点です。

①感情に向かい合う前に、事実と心の反応を分ける
②ブッダの言葉が大量に引用され、分かりやすく解説されている

①について、本書の主張で一番印象的なのが、

悩みは全て心の反応から始まっている

というものです。

悩みを誘発する事実とは別に、その事実に反応する心があることで悩みが生じるということです。

したがって、仮に事実を変えることができなかったとしても反応の仕方を変えることで悩みを軽減することができるということになります。

例えば、朝の通勤ラッシュに遭遇した際の反応は幾通りも考えられます。

・混んでいる電車を見てゲンナリする
・毎日のことなので特に気にしない
・自分以外にも頑張っている人がいると考えて気合を入れる
・満員電車の中でも本を読んで勉強している自分を賞賛する

反応の仕方を変えてしまえば、直面している事実に対する感情は変化します。

この事実とそれに対する反応を分ける、という考え方は言われてみれば当然のように思えますが、メンタル関連の書籍では見たことがありませんでした。
メンタルをコントロールする基礎に思えるので重要な指摘でしょう。

本書ではこの反応についての分析から始まり、ありがちな反応のパターンについて解説しています。
第2章のつい良し悪しの判断をしてしまう、というのがその一例です。

どちらかといえば、「反応しない」練習という書名の通り、まずは無駄は反応をしないことに重点が置かれていると言っていいでしょう。

ただし、反応しないという静的な思考のみならず、理解する、快を感じられるように工夫する、など、人の悩みに応じて柔軟な助言がなされています。

その根底にあるのが、サブタイトルにある「ブッダの超・合理的な「考え方」」ということになります。

②について、本書が優れているのはブッダの教えについて、具体的な書籍からの引用が頻繁になされていることでしょう。
つまり、著者である草薙龍瞬氏の個人的な解釈というわけではないということです。

原典であるブッダの言葉から大量の引用がなされている

私も原始仏教について勉強しようと思い、岩波文庫の『ブッダのことば スッタニパータ』『ブッダの真理のことば感興のことば』などを立ち読みしてみたのですが、さっぱり分かりません。

原始仏教は変な宗教色はなく、心のコントロールをするための合理的な技術だと思われますが、独学で原典から学べるようなものではないようです。

その点、本書『反応しない練習』はブッダの言葉を引用しながら分かりやすく解説するという構成になっていますので、原始仏教の入門書として適切なわけです。

原始仏教は最近はやっている、マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想、セルフコンパッションなどの源流の考え方になります。
マインドフルネスなどを自分の生活に活かしていきたいと思えばある程度の理解は必要になるでしょう。

より具体的な方法論を学ぶための土台として有用であると考え、本書『反応しない練習』を高く評価しました。

『反応しない練習』の不満点

気になった点が2点ほどあるので指摘しておきます。

①どんな悩みも必ず解消できる、は言い過ぎ
②この本だけでメンタルコントロールの力を手に入れるのは難しい

①について、「はじめに」の冒頭で、

「正しく考える」ことで、どんな悩みも必ず解消できる(1ページ)

とありますが、やや言い過ぎな気がしました。
少なくとも本書を読んだだけではさすがに難しい。

本書『反応しない練習』を読んだだけでどんな悩みも必ず解消できるとは書かれていませんが、期待させ過ぎのような気がするのです。

私は本書の読書中に対人トラブルがあり猛烈なストレスに晒されたことから、本なんか読んでも意味ないんじゃないか、とさえ思ったことがあります。

要は②に書いたように、本書はメンタルコントロールのための入門書の位置づけであるため、ヴィパッサナー瞑想などの具体的な方法論を身に着ける必要があるのではないか、ということです。

実際に、著者である草薙氏はこの『反応しない練習』の実践編として別の書籍である『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』を上梓しています。


見ての通り表紙に、「名著『反応しない練習』の続編」と書いてあります。

『反応しない練習』という書籍が悪いわけではありませんが、単行本を1冊読んだだけで全ての悩みが解消するはずがありません。

本書に限って言えば、メンタルコントロールの入門書であり、心が少し軽くなる、といった程度の効果を期待するにとどめておけばがっかりすることもないと思われます。

まとめ

不満も書きましたが、本書はメンタルコントロールの入門書としてはこれ以上ない書籍であると思っています。

精神を安定した状態にできるかはこれからの自分の努力次第と言ったところでしょう。

悩みなどを解消したいと考えている方は、遠回りに見えても本書から始めることをおすすめしたいです。


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