【感想】超・箇条書き 「10倍速く、魅力的に」伝える技術(杉野 幹人)

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基本情報

【書籍情報】

書名超・箇条書き 「10倍速く、魅力的に」伝える技術
著者杉野 幹人
出版社ダイヤモンド社
発売日2016年6月
価格1,540円(税込)

【目次】

はじめに 仕事に使える最強スキル、それが箇条書き
序章 なぜ箇条書きが、最強のビジネススキルなのか?
第1章 超・箇条書きの技術① 構造化
第2章 超・箇条書きの技術② 物語化
第3章 超・箇条書きの技術③ メッセージ化
第4章 超・箇条書きをもっと使いこなす
おわりに 箇条書きが、私を救ってくれた

おすすめのポイント

箇条書きは情報過多の現代において不可欠かつ最強のスキル

【おすすめ度】
★★★(5/5)

おすすめのポイント

1.短く魅力的に伝達し人を動かす技術を身につけられる
2.構造化・物語化・メッセージ化という実践的な要点に絞り込まれている
3.具体例を問題集のように使うことができる
4.長文を書くのも上手くなる

注意点!

1.内容は単なる箇条書きを超えており難しいところもある
2.箇条書きにどの記号を使えばいいかなどの表記方法についての記述はない

こんな人におすすめ!
・文章を書く人はもれなく全員

メールやLINEでさえ箇条書きを使わない人はいません。
・特にブログやnoteなどの執筆活動をしている人には完全に必読です。

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感想

『超・箇条書き』の良いところ

1.短く魅力的に伝達し人を動かす技術を身につけられる

本書は書名に『超・箇条書き』とあるように、単なる見やすい箇条書きを目指す本ではありません。
短い文章で魅力的に表現し、相手を動かすことを目的にしているのです。

短く、魅力的に伝える箇条書き。そして人を動かす箇条書き。
それらを『超・箇条書き』と呼ぶこととする。

4ページ

発信の最終目的を「人を動かす」ことに設定している考え方は、以前にレビューした伊藤羊一さんの『1分で話せ』と全く同じになります。

箇条書きという素材を用いて、短文でいかに人に影響を与えるかを突き詰めた本になります。
人を動かすための技術の中心が、次項の構造化・物語化・メッセージ化です。

2.構造化・物語化・メッセージ化という実践的な要点に絞り込まれている

目次にもあるように、本書の中核となるのは3つの技術です。

①構造化
②物語化
③メッセージ化

3つの技術は性質から二つに分類できます。
見やすさを追求する①構造化と人に与える影響を追求する②物語化・③メッセージ化です。

見た目を分かりやすくする①構造化
人に影響を与える表現を追求する②物語化
③メッセージ化

①の構造化こそが箇条書きそのものの技術と言っていいでしょう。
②③については箇条書きというより短文の文章術といった方が適切かもしれません。

①構造化の中では、

・自動詞と他動詞の使い分け
・直列と並列で時間軸を整える
・ガバニング

という3つの技術が解説されていますが、ここではガバニングについて説明します。
私が本書で一番ためになったと思ったのがこのガバニングなんですよ。

ガバニングとは要点を頭出しすることなわけですが、この手法は箇条書きと滅茶苦茶相性がいい

ガバニング:要点を頭出ししてまとめること

実はこの記事でも意識してガバニングを行っています。
それは「おすすめのポイント」のところです。

本記事では上記のおすすめのポイントにおいて『超・箇条書き』の良かったところと注意点を先に箇条書きで書いているわけです。

このやり方なら要点だけ知りたい人は箇条書きの部分を読んでもらえれば一目瞭然です。
しかも書き手である私も、自分の頭の中が整理された状態で本文を書けるので楽です。

難しい技術ではありませんが、本書を読むまでは意識したことはありませんでした。

次に②物語化と③メッセージ化ですが、この2つは箇条書きというより文章術になります。

②物語化と③メッセージ化ですが、正直に言うと私には違いがよく分かりませんでした。
特に②物語化については定義も書かれていない。③メッセージ化は定義が書かれています。
それでも本文の記述から考えると以下のように説明できるでしょう。

【定義】

②物語化相手に関心を持ってもらう技術
③メッセージ化相手を感動させ動いてもらう技術

要は話を聞いてもらえるようにするのが②物語化で、聞いてもらった後に動いてもらうのが③メッセージ化ということになります。

①構造化と同じように、本書では②物語化・③メッセージ化のそれぞれにおいても3つの技術を紹介しています。

②物語化・イントロづくり
・MECE崩し
・固有名詞を使う
③メッセージ化・隠れ重言排除
・否定を使う
・形容詞や副詞を「数字」に変える

②物語化と③メッセージ化は相手の感情に訴えるという点では共通していますので6つの技術についてはまとめて説明します。

上記の6つの技術は2つに分類できます。
余計なことを書かないという省略の技術と相手の感情に影響を与える表現の技術です。
具体的な分類は以下の通りです。

②物語化・③メッセージ化の技術の性質による分類】

省略の技術・MECE崩し
・隠れ重言排除
表現の技術・イントロづくり
・固有名詞を使う
・否定を使う
・形容詞や副詞を「数字」に変える

MECE崩しと隠れ重言排除というのは書かなくていいことを見極める技術になります。
中身のない冗長な文章は読み手の負担になるだけで書き手に実益がありません。
書かなくていいことは書くな、ということですね。

情報を見やすくするという①構造化の技術に近いかもしれません。

残りの4つは表現の技術になります。
特に私が着目したのは「形容詞や副詞を「数字」に変える」です。

以前に私がレビューした書籍に『10倍速く書ける 超スピード文章術』があります。
形容詞を極力使うなという指導はこちらでもされているんですよ。

形容詞や副詞といった修飾表現は書き手の感想であって具体性がありません。
読者に負担のない短い文章でインパクトを与えるには、より具体的な表現に置き換える必要があるわけです。

具体性の高い言葉の代表例が数字になります。
『10倍速く書ける 超スピード文章術』でも、文章を書く前の素材集めとして「数字」の重要性が強調されていました。

異なる本を書いている別の著者同士が内容の近いことを言っている場合、その情報は極めて信憑性が高いです。

形容詞や副詞による修飾はできるだけ行わず、より具体性の高い言葉に置き換えるという技術は習得必須と考えていいでしょう。

その他の3つの技術についても、固有名詞や否定といった分かりやすい表現を用いて文章のインパクトを上げる方法が解説されています。

箇条書きを超えた文章術ともいえる内容ですが、端的に分かりやすく書くという箇条書きの性質と相性のいい技術ばかりなので積極的に活用していきたいところです。

3.具体例を問題集のように使うことができる

全部で9つ紹介されている技術ですが、いずれも一読で身につけられるほど簡単なものではありません。
マスターしたければ本書を何度も読み返す必要があるでしょう。

しかし、ただ闇雲に何度も読み返すのは時間のない社会人にとって負担です。
簡易な復習法として、本書に載っている具体例の図を見てどう修正すべきか考えてみることをおすすめします。

次の箇条書きは本書の33ページに載っている①構造化のサンプルになります。
営業会議の内容をまとめたものです。

【改善前】33ページ

・営業の人員が足りていない
・手強い競合商品があるため苦戦している
・コールセンターでの問い合わせた対応のトレーニングが間に合わない
・営業部で期間限定のスタッフが増える
・それ以外のことは、営業部が経営会議に報告して打ち手を仰ぐ

一見すると特に問題のない箇条書きに思えます。
しかし、本書で紹介されている手法を使うと大きく姿を変えます。

【改善後】75ページ

●3つの問題点が議論された
・営業の人員が足りていない
・手強い競合商品があるため苦戦している
・コールセンターでの問い合わせた対応のトレーニングが間に合わない
●2つの対応が決まった
・マーケティング部が営業部に期間限定でスタッフを貸し出す
・それ以外のことは、営業部が経営会議に報告して打ち手を仰ぐ

この修正には①構造化で解説されている技術が全て使用されています。

・自動詞と他動詞の使い分け
・直列と並列で時間軸を整える
・ガバニング

本書ではこのように、一見問題はないように見えても紹介されている技術を駆使すれば見やすくそして伝わりやすくなる具体例が各項目ごとに紹介されています。

ポイントは一見すると特に問題ないように見えるところですね。
だからこそ、単に本文を読み返すのではなく問題集のように使うことができるわけです。

4.長文を書くのも上手くなる

文章力を上げたいと思っている人にはこれが一番重要かもしれません。
『超・箇条書き』を極めると長文を書くのも格段に上手くなります。

なぜなら、長文の下書きは箇条書きで行われるからです。

箇条書きの段階でポイントと順番が上手くまとまっていれば、あとは肉付けするだけで長文が完成します。

実際に先ほど紹介した『10倍速く書ける 超スピード文章術』の中では長文を書くための下書きが箇条書きで掲載されています。

本記事もトータルで5千字を超えていますが、冒頭のおすすめのポイントにて重要事項を頭出しし、肉付けを行っているにすぎません。

『10倍速く書ける 超スピード文章術』
『超・箇条書き 「10倍速く、魅力的に」伝える技術』

この2冊を読むまでは割と適当に記事を書いていたので、随分と書く内容とスピードが向上したと思っています。

そんなわけで箇条書きのスキル自体も万人に有益なスキルですが、ブログやnoteのように長文を書く人にとってはより習得必須のスキルといえるわけです。

『超・箇条書き』の注意点

1.内容は単なる箇条書きを超えており難しいところもある

ここまで読んでいただければわかると思いますが、本書の内容は単純な箇条書きのレベルをはるかに超えています。

ちょっと箇条書きを上手く書きたい、という人からするとハードルの高い書籍と言えるでしょう。

本書のテーマはあくまで『超・箇条書き』です。

短く、魅力的に伝える箇条書き。そして人を動かす箇条書き。
それらを『超・箇条書き』と呼ぶこととする。

4ページ

もちろん日常のメールやLINEなどにも応用はできるわけですが、仕事で提出する資料などが主な素材になっていることは否定できません。

本書の読破には文章力を向上させたいという強い気持ちが要求されるところはあります。

2.箇条書きにどの記号を使えばいいかなどの表記方法についての記述はない

実を言うと私は元々、箇条書きの表記の仕方を知りたくて本書を読もうと思いました。
用いる記号にルールのようなものがあるのではないかと思ったのです。

結論を言えば箇条書きの表記そのものについての記述は一切ありません

使われている記号は「●」「・」が中心となり、たまに「1.」「①」の数字が用いられています。

<再掲>
【改善後】75ページ

●3つの問題点が議論された
・営業の人員が足りていない
・手強い競合商品があるため苦戦している
・コールセンターでの問い合わせた対応のトレーニングが間に合わない
●2つの対応が決まった
・マーケティング部が営業部に期間限定でスタッフを貸し出す
・それ以外のことは、営業部が経営会議に報告して打ち手を仰ぐ

文章術の本の中には箇条書きの表記方法について解説されているものもあります。

この『SEOに強い Webライティング 売れる書き方の成功法則64』では次のように説明されています。

・順番性のない事柄→□■●などの記号を使う(できるだけ数字は使わない)
・順番性のある事柄→①などの数字を使う

私は、

別に順番がなくたって①②などの番号を振ってもいいんじゃないの?

と思っているわけです。


理由などを箇条書きで列挙する場合に「①については~」みたいに書くこともあるので番号が振ってあると便利なんですよ。

そこで箇条書きに公式なルールのようなものがあるのか知りたかったのですが本書『超・箇条書き』には一切の記述がありません。

ちなみに、本書『超・箇条書き』では順番のない箇条書きでも「1.」「2.」のような数字を用いている例があります(116ページなど)。

あまり深いこだわりを持つ必要もなさそうですね。

おすすめ度★5の理由

おすすめ度は最高評価の★5としました。

理由は2つあります。

①箇条書きの本は数が少なく希少
②内容が実践的で使いやすい

①について箇条書きの本は数が少なく、2025年3月現在だと普通に販売されている本はたったの2種類しか確認できませんでした。

過去に色々出版されているようですがAmazonを見る限り絶版で新品が手に入らない上に評価も★4以下のものが多いです。
Amazonの評価が絶対ではありませんが、絶版になっていることと合わせて考えると、内容のいい箇条書きの本は希少であることが分かります。
この点を高く評価しました。

②について、本書『超・箇条書き』内容が十分実践的であることに加えて具体例も分かりやすいです。
他方、『頭がよくなる箇条書きの習慣』はかなり難しい本になります。

箇条書きというシンプルな技術を実践レベルで紹介してくれている点も高く評価しました。

箇条書きの有用性を考えると本書『超・箇条書き』を読まない理由はありません。
文句なく★5の必読書です。

まとめ

以上見てきたように、『超・箇条書き』のスキルは箇条書きそのものだけでなく長文を書く技術としても有益なものになります。

メールやLINEも入れれば文章を書かない人はほとんどいないと思いますので、万人が読んで損のない本だと思っています。

仕事で企画書や報告書を書く機会の多い人に加えて、ブログやnoteの執筆をしている人は必読だと思います。

本文中で何度か紹介した『10倍速く書ける 超スピード文章術』とも相性がいいです。

自分の文章力を武器にしたい人は合わせて読むことをおすすめします。

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