おすすめのポイントと基本情報
【おすすめ度】
★★★☆☆(3/5)
【おすすめのポイント】
集中力に始まり、理解、記憶、読書法、ノートの取り方など、およそ勉強に関連するあらゆる知識が過不足なく網羅されている良書。
最大の特徴は信頼性にある。
著者の一人であるバーバラ・オークレー氏はミシガン州の優秀教授賞を受賞しており、氏の提唱する学習法が著者個人だけでなく教え子に対しても効果的なものであることが伺える。
また、共著であることからも客観性が高いといえる。
さらに、効果の疑わしい速読法を真っ向から否定していたり、科学的根拠の希薄な手法は一切紹介されていない。
全体的に抽象性が高いものの、勉強法について真剣に考えたい人は早い段階で読むことが推奨される本質的内容になっている。
全体的に記述は分かりやすく、読みやすい文章であることもポイントが高い。
【おすすめしている人】※リンク先はYouTube
・メンタリストDaiGoさん
→自分を疑えるのは成長できる証拠だ。自分を疑わない人に成長はない【質疑応答#15】
書名:学び方の学び方
著者:バーバラ・オークレー、オラフ・シーヴェ
訳者:宮本 喜一
出版社:アチーブメント出版
発売日:2021年1月30日
価格:1,760円
はじめに
第一章 どこまでも集中し、そして怠けぐせに打ち勝つには
第二章 行き詰まりを克服するには
第三章 より深く学習するには
第四章 作業記憶を最大にして、上手にノートを取るには
第五章 記憶し内在化するには
第六章 自律心がないときでも、それを発揮するには
第七章 自分自身をその気にさせるには
第八章 効率よく読書をするには
第九章 試験で好成績をあげるには
第一〇章 戦略的な学習者になるには
巻末付録 チェックリスト 効率的に学習するには
参考文献
注釈
読書ノート
『学び方の学び方』を読む目的
①効果的な勉強法の基本を押さえる。
②実践できそうな勉強法はすぐに実践する。
いくつか資格試験を受ける予定があるため、より効果的な勉強方法を確立しようと思い本書を読むことにした。
これまでも高校受験・大学受験・資格試験とあらゆる勉強をしてきたが、我流の域を出ていないため伸び悩みを感じていた。
そこで、本格的な読書を始めたことを契機に自分の勉強法をブラッシュアップしようと考えたということ。
『学び方の学び方』を読んだ感想
目的①について
①効果的な勉強法の基本を押さえる。
本書は単なるテクニックではなく、集中力、理解、記憶といった根本的な人間の脳機能の観点から勉強法が語られている。
受験勉強などをある程度やったことのある人からすると、何となく感じていたことを理論的に説明してくれている。
例えば、難しい概念を勉強した直後は良く理解できなかったとしても、時間を置いて取り組むとなぜか理解できていたりする。
私の場合は、大学受験の数学や物理で新しい分野を勉強したときにこの現象が起きた。
本書ではこの現象について、脳には「拡散モード」という状態があると説明している。
つまり、難しいことを勉強した後はしばらくその勉強から離れてリラックスしてみると脳内で理解を深める作用が機能するということだ。
逆に言うと、勉強した内容が腑に落ちないからといって、愚直に机に向かい続けてもあまり意味はない、ということになる。
他にも、理解を深めるためには記憶が重要だとしている。
核となる基礎知識をしっかり記憶することで、より難しい概念を理解しやすくなるということだ。
昨今は知識はググればいいから覚える必要はない、といった論調をよく見かけるが、覚えなくていいという考えは理解の観点から間違っていることになる。
やはり基礎知識はしっかり押さえていないと高度な思考などできないということ。
本書ではこのような根本的な学習の経過が理論的に説明されている。
テクニックというより本質的なことが中心に書かれているので、学習の指針になる。
目的②について
②実践できそうな勉強法はすぐに実践する。
正直に言うと、即効性のある効果的な勉強テクニックについてはあまり収穫はなかった。
強いて言えば、一定時間ごとに休憩と取るという、ポモドーロ・テクニックについては本書を読んだ直後から実践している。
ポモドーロ・テクニックとは、本書の場合、25分勉強したら5分休憩するという集中力を維持するためのテクニックのことだ。
細かいテクニックも紹介されてはいる。
しかし、内容が多岐に渡りすぎていることにことに加えて、各記述が抽象的であるため実践しにくいように感じた。
例えば、読書術やノート術、記憶術などについても書かれているが、分量が少ない。
真剣にこれらの技術を習得しようと思ったら、それぞれをテーマにしている書籍を当たった方が確実だろう。
各技術の紹介にとどまってしまっている印象を受ける。
『学び方の学び方』の不満点
特に欠点らしい欠点はない。
ただし、どのような人を対象にしているのかは注意が必要だ。
本書は勉強法について考えたことのない人向けに書かれているといえる。
これから勉強法について学びたい人が初期の段階で読めば得るものが多いだろう。
すでに勉強法について研究し、自分なりの方法を確立している人には物足りないかもしれない。
また、どちらかといえば脳の使い方という本質的な内容が中心となっている。
短期的に即効性のある方法や今すぐ使える効率的な勉強法を知りたい、という人にもおすすめしにくい。
理想的な勉強法を基礎からじっくり身に付けたいという人向けの本といえる。
まとめ
何度も読み返したくなる名著、というよりは、勉強法を考える初期段階で目を通しておくと全体的な底上げになる良著という印象。
読んで損はないし、読みやすい本なので、余裕があればなるべく早い段階で読むことをおすすめしたい。
特に、これから本格的に勉強を開始したいと考えている人には有益だろう。
表面的な勉強法を紹介している本よりも優先順位は高いように思う。