基本情報
【書籍情報】
書名 | 伝え方が9割 |
著者 | 佐々木 圭一 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発売日 | 2013年2月 |
価格 | 1,540円(税込) |
頁数 | 208ページ |
【目次】
はじめに 伝え方にはシンプルな技術がある
第1章 伝え方にも技術があった!
第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術
第3章 「強いコトバ」をつくる技術
おわりに あなたの宝の地図を見つけよう
おすすめのポイント
【おすすめ度】
★★★★★(5/5)
1.言葉の技術の本質が分かるので応用力爆上がり!
2.分かりやす過ぎるので読むと同時に実践できてしまう!
3.なぜ、伝え方が重要なのかの説明が説得力ありすぎる!
明らかに内容を水増ししている感がある
感想
良かった点
1.言葉の技術の本質が分かるので応用力爆上がり!
これです、何より感動したのは。
人に影響を与えるコトバがどういう構造を持っているのか、ということが本当によく分かる。
有名なキャッチコピーや名言の構造が分かるようになるんです。
文章を書く人間にとって「読まれる」ということは重要です。
読まれるために書いてるわけですから。
じゃあ、読まれるためにどうすればいいのかというと、人の目を引くしかありません。
自分が書いた言葉を気にしてもらう必要があるんです。
本書ではどういう言葉を人が気にするかが具体例とともに誰でも分かるレベルの分かりやすさで書かれている。
一例を挙げれば、ギャップ法ですね。
人は相反するギャップのある言葉の並びに目を向ける、というものです。
本書は具体例がとにかく分かりやす過ぎます。
というか誰でも知ってるものばかりなんですよ。
ギャップ法の具体例は、
・事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!『踊る大捜査線』青島俊作
・お前の為にチームがあるんじゃねえ、チームの為にお前がいるんだ!!『SLAM DUNK』安西先生
ね、分かりやすいでしょ?
出てくる例は終始このレベルなのではっきり言って本当に誰でも知ってるレベルです。
けど、なぜこれらの言葉が心を打つのかを理論的に分かりやすく体系化されている本を読んだのは初めてでした。
これまでにもキャッチコピーの本はいくつか読んでいます。
代表例はジョン・ケープルズ氏の『ザ・コピーライティング』、大橋一慶さんの『セールスコピー大全』などです。
が、はっきり言ってこの2冊で書かれていることを私はほとんど覚えてません。
本が悪いのではなくレベルが高すぎるんだと思います。
それに対して本書『伝え方が9割』は分かりやす過ぎる。
だからこそ、記憶にも残るし実際に自分でも使えてしまいます。
つまり馬鹿みたいに応用力がある。
キャッチコピーや人に読まれるための文章力を身に付けたい人はこの本から読むべきです。
人を感動させる言葉の法則を知っているかどうかで応用力が変わってきます。
構造を理解しているからこそ自分でも使えるようになるわけです。
実際に私は本書を読みながら書かれていることを自分のブログでリアルタイムで実践していました。
それが次の話です。
2.分かりやす過ぎるので読むと同時に実践できてしまう!
本というのは読んでも実践できないことが多いです。
頭では理解している、もしくは理解している気にはなるんですどね。
しかし、本書『伝え方が9割』は違いました。
読みながらもう実践していました。
というか分かりやす過ぎて自分の文章にすぐに応用できるので、嫌でも実践したくなるんですよ。
実際にこの本の著者である佐々木圭一は次のように述べています。
この本は正しく、美しい日本語を学ぶための本ではありません。
・・・中略・・・
9ページ
この本は、人の心に届く伝え方を学び、身につけることでビジネス、人生で成功したい人のための本です。
この本はすぐ使えるだけでなく、技術をあなたのモノにすることが目的ですから。
161ページ
つまり本書の目的は、
①技術を身に付ける
②身に付けた技術を実践する
ということなわけです。
そしてこの2つの目的がすぐに実現してまうところに凄さがあります。
もちろん私がこれまでに大量にブログなどを書いてきた経験もあるのかもしれません。
けど、ここまで本質的でありながら即効性のある本は読んだことがありません。
繰り返しますが、キャッチコピーや人に読まれるための文章力を身に付けたい人はこの本から読むべきです。
3.なぜ、伝え方が重要なのかの説明が説得力ありすぎる!
伝え方が重要な理由も、本書の知識を実践するモチベーションを大きく高めてくれました。
伝え方が重要であることには2つの決定的な理由があります。
①伝え方が変わり、人を動かせる確率が少し上がっただけでも人生は劇変する!
②情報化社会の現代は情報量が多すぎて凡庸な情報は見てもらえない
①伝え方が変わり、人を動かせる確率が少し上がっただけでも人生は劇変する!
本書によれば人は一日に平均して22回も頼みごとをするそうです(54ページ)。
22回はちょっと盛っている気がするので一日3回、年間でざっくり1000回と仮定します。
仮に各頼みごとの成功確率が30%だったとしましょう。
これが伝え方を身に付けることで10%上昇し、40%になったとしたら?
大したことないって思いますか?
しかし、年間では成功数は300から400に増加するわけです。
100も増加するんですよ。
この増加した100のうちに、デートの誘いや重要な案件の企画などがあったらどうなるでしょうね?
結婚相手が変わるかもしれないし出世に大きく関わるかもしれない。
たったの10%と見くびれないでしょ?
しかも10%なんていうのは私が勝手に少なく仮定した数字です。
本書の技術の中にはこれができたら成功確率4割くらいあがるんじゃないか、なんてものもあります。
伝え方を変えると人生が変わるというのは誇張ではないんですよ。
②情報化社会の現代は情報量が多すぎて凡庸な情報は見てもらえない
私のように文章を書くことを仕事の一部にしている人間からするとこっちの方が重要です。
現在は情報過多すぎて文章を読んでもらうのは容易ではありせん。
これはブログを書いていると痛切に感じます。
書いてもなかなか読んでもらえない。
だからこそ、人目を惹く言葉の書き方身に付ける必要性が高まっているわけです。
人目を惹く言葉の中でも最も重要なのはキャッチコピーになります。
これは、以前にレビューしたセールスライティングの本にも常識のように書かれています。


良質なキャッチコピーを身に付けるためには、良質なキャッチコピーの法則を知る必要がある。
これが本書『伝え方が9割』の肝なわけです。
そんなわけで①②から分かる通り、この本は伝え方を身に付ける目的・理由から分かりやすく書かれているんです。
私の説明でも腹落ちした人はいるのではないでしょうか。
本書を読めばさらに具体的に書かれています。
気になった点
明らかに内容を水増ししている感がある
これは本書を読んだ人の大半が思うことでしょう。
Amazonのレビューにも、「同じことが書かれている」「内容が薄い」みたいな批判的なことが書かれている。
確かに私も最初に読んだときは、「ページを水増ししてるじゃん」と思いました。
しかし、実践という視点で考えると決して情報量は少なくないんですよ。
要は、この本で書かれていることを本当に実践できてるのか、ということです。
本書で紹介されている技術を目次から列挙してみます。
●「ノー」を「イエス」に変える技術
①相手の好きなこと
②嫌いなこと回避
③選択の自由
④認められたい欲
⑤あなた限定
⑥チームワーク化
⑦感謝
●「強いコトバ」をつくる技術
⑧サプライズ法
⑨ギャップ法
⑩赤裸裸法
⑪リピート法
⑫クライマックス法
●コラム
⑬ふせんマジック
他にも長文を書く時のコツやメールの文章についての技術も紹介されています。
これら全てをどれだけの人が意識して実践できているのか、ということなんですよ。
そんな人はほとんどいないでしょう。
いたら間違いなく伝え方のプロです。
本書には内容の重なる『伝え方が9割 2』もあります。
私は最初、「どうせ1と内容ほとんど被ってるんだから2は買わなくていいや」と思いました。
しかし本書『伝え方が9割』を読んで考えが変わりました。
2も買う予定です。
なぜかというと、本書に書かれている技術を確実に身に付けたいと思ったからです。
そうなると本書を何度も読むことになります。
けど、1冊だけ何度も読んでいると飽きが来るでしょう。
1と2の内容が100%被っているわけでもありません。
だったら2冊とも買って何度も読んだ方がいいと思ったんです。
たったの1,540円しかしないですからね。
身に付く技術の有用性を考えるとケチる金額ではない。
そんなわけで、単に読書するという観点からは内容が薄く感じる本かもしれませんが、実践を考慮すると情報量は少なくないです。
むしろ数を絞ってくれているからこそ実践しやすく身に付けやすいと思います。
まとめ
キャッチコピー系の本なら間違いなく本書から読むべきです。
ブログやnote、Xなどで情報発信している人はできるだけ早く読んだ方がいい本だと思いました。
もっと早く読みたかったです。
多分読んでいるその途中からでも書く文章が変わると思いますよ。
私がそうでした。
最初は内容の薄そうな本だと思ったんですけど、本当に読んで良かったです。
実践的に文章力を上げたい人におすすめできる本です。