【感想】ハイパワー・マーケティング(ジェイ・エイブラハム)

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基本情報

【書籍情報】

書名ハイパワー・マーケティング 「卓越」のビジネスを築く21の原則
原題Getting Everything You Can Out of All You’ve Got
著者ジェイ・エイブラハム(Jay Abraham)
元村 まゆ
出版社ダイレクト出版
発売日2024年12月30日
価格2,970円(税込)
頁数380ページ

【目次】

第1部 今持っているものを最大限に増やす方法
 第1章 あなたの飛行計画
 第2章 ブレイクスルーを生み出す
 第3章 現状を把握する
 第4章 ビジネスの核心-卓越の戦略
 第5章 再購入システムを確立する
 第6章 USPを構築する
 第7章 クライアントが断れないオファーを提示する
 第8章 アドオンを活用しよう
 第9章 とにかくテストあるのみ
第2部 最大限に増やしたものをさらに増やす方法
 第10章 ジョイント・ベンチャーを構築する
 第11章 紹介ステムを構築する
 第12章 休眠クライアントを掘り起こす
 第13章 ダイレクトメールは1万人の営業チーム
 第14章 質の高い見込み客をターゲットにする
 第15章 テレマーケティング活用法
 第16章 インターネット活用法
 第17章 バーター取引で有利なビジネスを
 第18章 取引後のコミュニケーション
 第19章 逆行分析を使って目標を達成する
 第20章 成功に終わりはない
 第21章 自分で思っているよりあなたは豊かだ
おわりに
推薦図書―私が選んだ戦略的ビジネスの名著トップ10
謝辞
著者について

おすすめのポイント

【おすすめ度】
★★★(5/5)

良かった点

1.副業・起業初期の人は戦略・マーケティング本はこれだけでいい
2.実践知識とその豊富な実例が分かりやすく書かれている
3.起業家が身に付けるべき本質的なマインドが分かりやすく書かれている

気になった点

まともな翻訳がない可能性がある

感想

良かった点

1.副業・起業初期の人は戦略・マーケティング本はこれだけでいい

ぶっちゃけ副業・起業初期の個人は、戦略やマーケティングの本はこれだけ読んでればいいと思います。
それほど内容が良かったということです。

私は自分のビジネスを加速させるために戦略の本もいくつか読みました。
有名どころとしては、『良い戦略、悪い戦略』(リチャード・P・ルメルト)、『ストーリーとしての競争戦略』(楠木 建)です。

この2冊は読み始めて3分の1も読まずにやめてしまいました。

小難しすぎて何を言っているのかよく分からないし、書かれていることを実践できる気がしなかったんですよ。

真剣に精読すれば意味を理解することはできたかもしれません。
けど、こちらは自分のビジネスを拡大したくて必死です。

マーケティングというビジネスの基本を学ぶために、まるで哲学書を解読するような作業が必要だとは思えない。

そこで、名著として名高い本書『ハイパワー・マーケティング』を読んでみたわけです。
これがまあ分かりやすい。

初期の個人事業家が身に付けておきたい技術とマインドが分かりやすくまとまっている

その内容が次の項目です。

2.実践知識とその豊富な実例が分かりやすく書かれている

本書の基本的な構成は、大雑把に言えば

①知識・技術→②具体例

という流れで一貫しています。

①知識・技術については自分のビジネスを持ってる奴は最低限これは知っとけ、というものが紹介されています。

例えば私が感銘を受けたのは「商品やサービスをお金として活用するバーター」の手法です。
要は、起業初期で金がない場合などは、自分が持っている商品やサービスを他者のサービスと交換しろ、ということです。

さらにその発展形として二者ではなく三者間での取引にまで言及されています。
お金という普遍的な価値を利用しない場合、自分と相手の持っているものを直接交換できるか分かりません。
自分が欲しいものと相手が欲しいものが一致しない場合があるからです。

サービスを受けるとなればお金を払うことしか考えたことなかったですよ。
けど、三者間取引は民法にも独自の条文があるくらいですから一般的に行われていることです。
ビジネス手法の視野を広げてもらえました。

このような知識・技術について複数の具体例が挙げられているのも本書の特長です。
つまり机上の話をしているわけではないということです。

具体例が出てくるのでイメージすることができてとにかく理解しやすいです。

そして、知識・技術以上に衝撃を受けたのは事業家マインドについてです。
これが次の話。

3.起業家が身に付けるべき本質的なマインドが分かりやすく書かれている

事業を起こして儲けたかったら、事業家特有のマインドを身に付ける必要があります。

例えば本書に載っている次の事例が一番わかりやすい。
これは、常にチャンスを探すようにせよ、というブレイクスルー志向の話です。

1972年、ある若者が議員付き添いとして国会で働いていました。その年の民主党大会で、ジョージ・マクガバンはリチャード・ニクソンの対立候補として大統領候補の指名を受けました。党大会中、マクガバン上院議員は、副大統領候補として指名していたイーグルトン上院議員をはずしました。16歳だった若き起業家は、一度きりのチャンスだと思い、突然使われなくなったマクガバンとイーグルトンの名前入りのバッジとバンパーステッカーを5000個買い占めました。1つ5セントで買いました。ほどなくして、政界の歴史的な珍品として、なんと1つ25ドルで転売しました。

角川書店版284ページ

要は5セント→25ドルと500倍の大儲けです。

この若き起業家が誰だか分かりますか。
この人物自体を知らない人はいないはずです。

ぜひ本を読んでみてください。
といっても知りたい人もいるでしょうから載せときます。

A:ビル・ゲイツ

彼の起業家としての専門分野とは全く違う話です。議員バッジの商売なんてないですから。
つまり、起業家は自分がどの分野で商売するかという以前に、起業家として成功するための共通のマインドを持っているということになります。

自分のビジネスを起こす人間は例外なくマーケティングの能力を身に付ける必要があるというのと同じことです。

これは過去にレビューした『ウェブセールスライティング習得ハンドブック』にも書かれていることです。

実際にネット上だとブレイクスルー志向を実践しているインフルエンサーにはちょくちょく出会います。
特別に行われているアフィリエイト企画を利用して短期間に大きく稼いでいるんです。

こういった現象は常にチャンスを探しているからこそ起こせるわけです。
なんとなくは分かっていたことなんですけど、ジェイ・エイブラハムほどの大物が言ってくれると成功法則として腹落ちしますね。

他にもマーケティングの天才の定義や「卓越論」といったビジネスで結果を出すために身に付けておきたい根本マインドが分かりやすく解説されています
これらの概念は自分で独立してビジネスをやるなら必ず身に付けなければいけないマインドだと思います。

つまり本書『ハイパワー・マーケティング』は副業・起業するならできるだけ早く読まないといけない本だということです。

いま日本にあるマーケティング本はほとんどが『ハイパワー・マーケティング』の焼き直しだそうです。

日本のマーケティング関連の書籍のノウハウは、そもそも、この本から引用されている場合がほとんどです。

角川書店版4ページの監修による「まえがき」より

一例として、日本で売れているマーケティング本に『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典)という有名な本があります。私も持っていますし読みました。

これも『ハイパワー・マーケティング』のパクリでしょう。
『ハイパワー・マーケティング』には以下のような記述があります。

たとえば、電動ドリルを買いに工具店に行く男性は、ドリルが本当に必要なわけではありません。穴が必要なのです。

角川書店版33ページ

思いっきり『ハイパワー・マーケティング』に書いてある。

正直に言って『ドリルを売るには穴を売れ』は私はほとんど印象に残ってません。
『ハイパワー・マーケティング』を読んだ方がはるかにいいでしょう。

元ネタを『ハイパワー・マーケティング』からパクっておきながら巻末の参考文献に『ハイパワー・マーケティング』を載せないのもあまりいい感じがしません。

さきほど引用した角川書店版の監修者による「まえがき」にはこうもあります。

諸外国と同様に、多くのベストセラー著者もこの本からヒントを得、(時にはそのままに)再利用してきました。ただ、日本は著作権の認識の甘い国ですので、引用元を明記していなかったり、引用であることすら書いていなかったりする場合がほとんどです。

角川書店版3~4ページの監修による「まえがき」より

まあ、私が言いたいのはマーケティングの本は『ハイパワー・マーケティング』だけ読めばいいのではないか、ということです。

もちろん他の本からも学べることはあるでしょうから、本当に『ハイパワー・マーケティング』だけでいいとは思いませんが、一番最初に読むべきだと思うし、何度も読むべきでしょう。

他の本に手を出すのは自分の事業がある程度の規模に育ってからでもいいのではないかと思うのです。

気になった点

本の内容には何の不満もありません。
訳が気になったということです。

まともな翻訳がない可能性がある

ちょくちょく引用しているように管理人が読んだのは角川書店版です
しかしこれは2024年10月くらいに絶版になってしまいました。

現在新品かつ定価で手に入るのはダイレクト出版版だけです。

角川書店版の監修者による「まえがき」にはこうあります。

本書の前訳は、テクニック重視で、重要なビジネスの本質を語る部分の翻訳がすっかりぬけ落ちていたことです。

角川書店版4ページの監修による「まえがき」より

「本書の前訳」とはPHP研究所から出版された『お金をかけずにお金を稼ぐ方法』とジャック・メディア(インデックス・コミュニケーションズ)から出版された『ハイパワー・マーケティング』のことです。

上記の「まえがき」で言ってるのは正確にはジャック・メディア版のことだと思われます。

じゃあ、角川書店版は完璧な訳なのかというと、目次がおかしい。

ダイレクト出版版の目次を見てみると、第1部と第2部に分かれていて全部で21章まである。
けど角川書店版は全部で17章までしかないし、第1部と第2部に分かれているわけでもない。

「監訳者あとがき」にはこんなことが書かれています。

翻訳作業は困難を極めました。・・・中略・・・
しかしながら、その翻訳は500ページにも及び、そこからエッセンスを搾りだして3分の2の分量にする作業はまた、さらなる監訳者の苦行でもありました。

角川書店版307ページ「監訳者あとがき」より

500ページを307ページってかなり端折ってるやん。
全然完璧じゃない。
というか今まで出版されている翻訳の中で一番ページ数が少ない。

そもそも原著である『Getting Everything You Can Out of All You’ve Got』は388ページもあるんですよ。

それが307ページになってるのはどう考えても端折っているということです。
日本語と英語の違いを考慮したとしても。
つまり角川書店版も原著に忠実ではないです。

じゃあ、ダイレクト出版版はどうなのか。
こちらは380ページあるし、原著の目次を見た限りでは原著に忠実です。
原著は第1部と第2部に分かれていて21章まであります。

ちなみに私はこの記事を執筆中にダイレクト出版版を買うことにしてダイレクト出版のサイトで注文しました。
到着を待っている状況です。

「本書『ハイパワー・マーケティング』(角川書店版)の内容に感銘を受けて、より正確なものを読みたくなった」というわけではないです。
それもあるのですが、ダイレクト出版版は巻末に「推薦図書―私が選んだ戦略的ビジネスの名著トップ10」という著者であるジェイのおすすめ本が載っているんですよ。
これが見たいんです。
もちろん単純に別の訳を読んでみたいというのもあります。

とまあ、長々書きましたが、どうも『ハイパワー・マーケティング』には原著に忠実な訳書がない可能性があります。
唯一可能性があるのはダイレクト出版版ですが、Amazonのレビューの中には訳に対する不満を表明するものが複数ある状況です。

どうやら『ハイパワー・マーケティング』を正確に読み解きたければ英語で原著を読むしかないようです。
そもそも原著の題名は『High Power Marketing』じゃなくて『Getting Everything You Can Out of All You’ve Got』ですからね。

前述した通り『ハイパワー・マーケティング』という本の内容そのものにはなんら問題点も不満も感じませんでした

まとめ

自分のビジネスを持とうと思ったらまず真っ先に読むべき本と思います。
そして紹介されている事業家マインドについては何度も繰り返し読んで頭に叩き込むべきでしょう。

自分が読んだマーケティング本の中では間違いなく一番いい。

絶版になってから欲しがっている人は遅すぎですよ。
副業レベルでも自分でビジネスしてる人は今すぐ買って真っ先に読んだ方がいいです。

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