睡眠は良い人生のために最優先すべき健康要素
健康の三大要素として挙げられる睡眠・食事・運動ですが、みなさんはこの3つのうちどれが最も重要だと思いますか?
すでに私の結論は見出しで示している通りです。
この3つの中でずば抜けて重要なのが睡眠になります。
まず、医学的な話は本記事1位で紹介している『睡眠こそ最強の解決策である』に譲るとしてここでは時間という観点から説明します。
単純に睡眠をとる時間は他の食事と運動に比べて圧倒的に長いということがあります。
毎日平均で7時間眠るとすると、およそ1日の3分の1近く眠ることになるのです。
90歳まで生きると仮定した場合、30年近くは寝て過ごしているわけです。
しかし、睡眠の影響は寝ている時間だけにとどまりません。
寝つきが悪く睡眠の質が低いと、覚醒して活動している時間帯にまで悪影響が及びます。
ここら辺の事情は紹介している書籍の中でプラス・マイナス双方の観点からしつこく解説されています。
端的に言えば、睡眠不足は酩酊状態と変わらないのです。
『睡眠こそ最強の解決策である』に詳しく書かれていますが、睡眠の質の低下はがんを始めとする様々な病気の原因でもあります。
睡眠不足などが理由で病気に罹患してしまうと、日中の活動どころの話ではありません。
したがって、睡眠が影響を与える人生の時間はとてつもなく長いのです。
さらに言うと、睡眠の改善は良質な食事を摂ることと違ってお金がかからないということがあります。
金銭的に改善のハードルが低いんですね。
時間だけでなくお金という観点からも睡眠の重要度は高いということになります。
以上により健康で良質な人生を送りたいと思った場合、睡眠の質の改善はほぼ最優先と言って過言ではありません。
本記事の構成
本記事はランキング形式で書籍を紹介してあります。
加えて、重要度を「必読」と「参考」の各3冊に分けて紹介しています。
・「必読」の3冊は睡眠を改善したければ購入して手元に置いておいた方がいいと判断した本になります。
・「参考」は余裕があればというところです。
もちろん、全部買って持っておいても損はありません。
むしろ睡眠の重要度を考えれば、すべて目を通してほしいとは思います。
どの本でも言っていることが微妙に違いますので。
さらに、各書籍については3つの基準で評価しました。
信頼性は、その書籍の情報にどこまで信頼性があるかということです。
睡眠は医学的な分野でもあるため、情報の信頼性は重要になってきます。
理論とは、睡眠の重要性を理論的・科学的に説明している程度になります。
これは実践との対比です。
理屈を理解していると睡眠を改善しようというモチベーションが上がるので評価項目としています。
実践は、私たちが実際に活用できる方法がどれだけ記載されているかということです。
理論を押さえていても実践できなければ意味がありませんので実益を求めている人にとっては最重要の指標になります。
おすすめの睡眠本必読の3選
1位:睡眠こそ最強の解決策である(マシュー・ウォーカー)
信頼性 | ★★★★★ |
理論 | ★★★★★ |
実践 | ★★☆☆☆ |
書名:睡眠こそ最強の解決策である
著者:マシュー・ウォーカー
訳者:桜田 直美
出版社:SBクリエイティブ
発売日:2018年5月19日
価格:1,760円(税込)
おすすめのポイント
理論武装によって睡眠の重要性を頭に叩き込む
【①睡眠の重要性を科学的な観点から徹底的に解説している】
本書『睡眠こそ最強の解決策である』を読む最大の目的は、睡眠の重要性を理論的にしっかり理解することだと思います。
「ぐっすり眠りたい」と思っている人は多いでしょう。
しかし、睡眠の質は人生を大きく左右する最重要な健康要素であって、眠りたいとかいうレベルではありません。
しっかり眠れないといけないのです。
具体的には睡眠不足はガン、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)、などの重大な病気と深く関連しているということです。
また、短期的にも自動車事故をはじめとするあらゆる事故原因にもなっていることが書かれています。
飲酒による酩酊のレベルではありません。
もちろん、睡眠不足のマイナス面だけではなく、適切に睡眠をとることのメリットについても解説されています。
統計的に、良く寝た方が記憶の定着が良くなりテストの成績が上がることから、適正な範囲内で睡眠が増えるほど収入も相関して増えていることなどです。
プラスマイナス双方の側面から適切な睡眠の習慣を身に着ける優先順位は極めて高いのです。
個人的には自分の生活を良くしようと思えば真っ先にやるべきことだと考えています。
睡眠の習慣を改善するにあたって、睡眠の重要性をしっかり理解すべきだと思い本書を1位として紹介することにしました。
【②睡眠の辞書のような役割を果たす】
本書は一般の書籍でありながら400ページを超えている上に1ページの文字数も多く、情報量は手に入る睡眠本のなかではダントツで1番でしょう。
ありとあらゆる項目に言及されているので、本書に書かれていない睡眠の知識というのはほとんどありません。
それでいて内容も説得的に書かれています。
睡眠と光の強い関係、クロノタイプ、カフェインやアルコールの功罪、寝室の室温、夢について、など他の書籍で言及されていることはこの本にほとんど書いてあります。
したがって、他の睡眠本を読んだ場合に、情報の信頼性を裏付けるために参照する辞書的な役割も果たします。
睡眠の質を改善したくて書籍に頼る場合、本書の所有は必須と言えるでしょう。
【③著者の経歴から情報の信頼性が高い】
情報自体の信頼性はどうなのかというと、著者の経歴を見ると睡眠コンサルタント、睡眠科学者に従事しており睡眠の専門家ということになります。
また現職はカリフォルニア大学バークレー校の教授であることに加えて、ハーバード大学医学部の助教授を経ていますので表面的な肩書からの判断ではありますが、いい加減な情報を流していい立場の人物ではありません。
そもそも、海外の本であるという時点で一定の信頼性があります。
本国で売れていないと翻訳されませんから。
書籍画像を見れば分かる通り全31か国に翻訳されているという実績もあります。
本書中では情報の出どころである論文等は明示されていませんが、都度情報源を明記していますので著者個人の見解が書かれているというわけでもありません。
情報源として本文中で実験を行った人物名や大学名、組織名などが逐一記してあります。
さらに言えば、カフェインやアルコール、睡眠薬の摂取などについて慎重な姿勢を取っているところにも好感がありました。
もちろん、書かれてあることの全てが誰にでも当てはまるとは言い切れません。
それでも私が読んだ睡眠本の中では最も信頼性を感じられたのが本書になります。
注意点
実践的な方法についての記載は薄い
情報量の多い書籍ではありますが、実践的な知識についてはいまいちです。
書かれていないわけではないのですが、理論的な部分におまけのように書かれているので、著者にとっての優先順位は低いのでしょう。
書かれている場所も至る所に散らばっているのでまとまりがありません。
一応、巻末に3ページほど12項目がまとまって書かれていますが、「いつも同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」などの平易なことしか書かれていないのでそこまで力が入っているわけではありません。
睡眠を良くする方法に奇抜なものなどないのかもしれませんが。
本書はあくまで理論武装するための本だと思いますので実践的な知識は他書で補うことが必須となります。
まとめ
睡眠の質について、長期的な視点でしっかりと確実に根本から改善したいという方は是非本書から始めることをおすすめします。
表面的な方法論から入るよりも、理論をしっかり理解していた方が改善の程度が段違いに変わってきます。
2位:SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術(ショーン・スティーブンソン)
信頼性 | ★★★☆☆ |
理論 | ★★★☆☆ |
実践 | ★★★★★ |
書名:SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術
著者:ショーン・スティーブンソン
訳者:花塚 恵
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2017年2月
価格:1,650円(税込)
おすすめのポイント
あらゆる分野の実践知識を網羅した実用の書
実際に睡眠の質を改善するには何をすればよいのか?
本書『SLEEP』以上に具体的な方法を数多く紹介している睡眠本は今のところありません。
したがって、『睡眠こそ最強の解決策である』を読んで理論武装した後は本書を読んで実践的な知識を身に着けよう、というわけです。
その内容は多岐に渡り、光や食事、運動はもちろん、室温、寝るときの服装や姿勢、はたまた夜の営みについてまで。
およそ睡眠に関係のありそうなありとあらゆる項目について解説してくれています。
睡眠の重要性を頭で理解できていても、実際に何をすれば睡眠の質が高まるのかを知りそして行動しなければ効果は出ません。
具体的な方法を知るためにも本書は必読と考えます。
注意点
やや信頼性に欠ける記述も見られる
他の睡眠本と照らし合わせる限り、全体的にまともで納得感のあることが書かれています。
しかし、マイナスイオンやアーシングといった信憑性や実行性に疑わしい記述があるのは事実です。
もっとも、本書にしか記載されていない方法であり、私の方で他の睡眠本などと照らし合わせて確認が取れなかっただけで、虚偽の事実が書いてあるというわけではないと思われます。
本書も海外の書籍であり、その点では和書よりも出版までの経緯において一定の信頼性はあります。
概ねおかしな記述は見られず、他の睡眠本と照らして類似の記述も多いです。
部分的に独自性の高い記述があるからといって本書を悪く評価して読まないのは損をしていると思われます。
まとめ
実践的な方法の網羅性は高いので、睡眠の質を改善するために具体的に何をすればいいのかを知りたければまず本書を読みましょう。
内容に納得できてすぐに実行できることはどんどん実行するのがいいと思います。
信頼性に不安があれば『睡眠こそ最強の解決策である』などの他の書籍と照らし合わせて信頼性の高い方法から実践していけば問題ないでしょう。
3位:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0(菅原 洋平)
信頼性 | ★★★★☆ |
理論 | ★★★☆☆ |
実践 | ★★★★☆ |
書名:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
著者:菅原 洋平
出版社:自由国民社
発売日:2023年3月20日
価格:1,650円(税込)
おすすめのポイント
臨床から導き出された最も実践的かつ具体的な方法論
【①臨床を根拠とした極めて高い信頼性】
私が本書を高順位で紹介している理由は、実践的観点からの信頼性の高さになります。
具体的に言うと本書では、研修先でアンケートを取ったところ効果があったのは「夜を暗くすること」という意見が最も多かった、と書かれています。
そして、夜の光の量を減らすことで睡眠の質が大きく改善したという事実は私自身の経験とも完全に符合します。
つまり、著者である菅原洋平氏は実際に臨床や指導を繰り返して生の実践データから本書を書いているのです。
実際に睡眠不足の人と数多く接して睡眠を改善してきた信頼が本書の特長の一つになります。
そもそも、他の睡眠本は方法こそ紹介してもどれが一番効果的なのかなんていう単純なことも書かれていませんから。
【②実践的に重要性な知識について細かく具体的にに書かれている】
睡眠本は実践について抽象的に書かれていることが多いです。
具体的には、よくある指導として「眠れないときはベッドから出る」というものがあります。
しかし、眠れないときの対処法として単純にベッドから出なさい、などというのは何の具体性もない指導方法なんですよ。
おそらく睡眠に悩みを抱えている人が一番困っているのは寝つきが悪いことではないでしょうか。
私もそうでした。
本書『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』では眠れないときの対処法を心構えから詳しく書いてくれています。
私の方で要約して紹介しますと、
・どれだけ睡眠の習慣を整えても、強烈なストレスなどで眠れなくなるときは必ずある。
・眠れないときが必ずくることを予測し覚悟しておく。
・眠れないときに何をするかをあらかじめ決めて準備しておく。
・眠れずにベッドの中にいるよりも最善の行動を取っているという安心感を持つ。
・予測・覚悟・対策がしっかりしていれば眠れなくても意外とダメージはない。
本書では以下のように書かれています
眠れないことが問題なのではなく、眠れないときがくるという予測やそのときの対策が立っていないことが問題なのです。
176ページより
私は本書のこの部分に出会ってから寝つきが悪いときに悩まなくなりました。
実際に寝つきも良くなりました。
「眠れないときはベッドから出る」などという一言で済む問題ではなかったということです。
精神面と物理面(眠れないときに具体的に何をするかの準備)の対策をしっかりと持つことが重要なわけです。
本書は実際に不眠に苦しむ人が何に悩んでいるか、そして具体的に何をすればいいのか、ということを精神面も含めて細かく記載してくれています。
まさに実践の書なのです。
【③特殊な生活環境の人に対して配慮されている】
生活環境や仕事の内容によっては理想的な生活習慣を実践するのが難しい人もいるでしょう。
例えば、夜勤がある人などがそうです。
本書は特殊な生活環境のために理想的な方法が実践しにくい人に対しての助言も随所に見られます。
普通の方法論が実践できない人も諦めるのは早いということです。
注意点
謳い文句に誇張が感じられる
表紙に「朝昼夕1分、誰にでもすぐできる!」とあるように、一日3分で睡眠の質を改善することをテーマに書かれています。
さすがに一日3分での改善は期待させ過ぎのような気がします。
もちろん効果はあるとは思いますが。
広告の観点から必要なのかもしれません。
中身は間違いなく良書ですので、商売上の誇張には目を瞑りましょう。
まとめ
痒い所に手が届く実践的な睡眠本としては本書が一番です。
まさにそこが知りたかった、という重要な部分の解説が手厚いところに本書の存在意義があります。
参考ではなく必読書として手元に置いておいた方がいいでしょう。
参考になる睡眠の良書3選
4位:眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法(田中 奏多)
信頼性 | ★★★★☆ |
理論 | ★★★☆☆ |
実践 | ★★★☆☆ |
書名:眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法
著者:田中 奏多
出版社:アチーブメント出版
発売日:2020年10月2日
価格:1,485円(税込)
おすすめのポイント
睡眠は投資、ゆえにできるだけ早く長期にわたって
【①睡眠を投資と考える視点の重要性】
睡眠を投資に例えることによって睡眠の重要性を強く認識できるようになることが本書の最大の特長です。
投資は長期にわたると複利的な効果を発揮します。
長期になればなるほど効果がどんどん大きくなるということです。
そして睡眠にも複利的な効果があるというわけです。
この睡眠の複利的効果は投資と違ってプラスとマイナスの双方の性質があります。
金融の投資にはマイナスの効果などというものはありませんが睡眠にはマイナスの効果があります。
質の悪い睡眠のマイナスの効果とは、『睡眠こそ最強の解決策である』にも書かれている通り、重大な病気に罹患する可能性が高まるということです。
つまり端的に言えば命に関わります。
しかも、短期的にも睡眠不足で交通事故などを起こす可能性も高まりますから、長期間だけの問題ではありません。
もちろん良質な睡眠にはプラスの効果もあります。
日中の生産性が上がれば仕事の成果も上がり、長期的には出世などの収入増にもつながるでしょう。
これも『睡眠こそ最強の解決策である』で統計データから明らかになっていることが説明されています。
また、睡眠がしっかり取れていると、睡眠不足の場合と違って、精神的にも落ち着いており機嫌がいいです。
つまり人間関係も良好になるということです。
周囲の人との人間関係が上手くいきやすくなるということも長期になるほど人生に与える影響は大きくなります。
私は本書に出会うまでは睡眠を投資のように考えたことはありませんでした。
自分では睡眠の重要性を理解しているつもりではいましたが、毎日繰り返される睡眠は私たちが思っている以上に人生に影響を与えているのです。
その意味では本書は睡眠の重要性を最も強く認識させてくれた本になります。
【②生活の中に少しずつ取り入れられる柔らかい記述】
本書は今回紹介する睡眠本の中で唯一著者が女性です。
著者が女性だからでしょうか、柔らかい記述が多いように感じました。
柔らかい記述とは普段の生活の中で無理なく取り入れられるようの方法が多く記載されているということです。
特に食事についての記述は多く、カラー写真付きでレシピなども載っています。
みそ汁をはじめ普通に手に入る食材のみを用いているので、実践もしやすいです。
食事から摂取するトリプトファンの重要性に気づかせてくれたのも本書でした。
全体的に方法論についてもハードルを低めに設定しているので取り組みやすい内容になっていると言えるでしょう。
睡眠は投資である、という点を除けば特別なことは書かれていませんが、一読すると自分にもできるという気持ちになる本と言えます。
注意点
睡眠を投資と考えるのは著者独自の考えではなく出版社の戦略
睡眠に投資と同様の長期にわたる複利的な効果があることに疑いはありません。
しかし、本書の睡眠を投資と考えるコンセプトは著者である田中奏多さん独自の考えではないと思われます。
というのも、出版社であるアチーブメント出版からは本書と同様のコンセプトで、
『食べる投資』
『視る投資』
などの書籍が出版されています。
したがって、著者としては睡眠と投資を無理矢理関連付けているのか、本書『眠る投資』の中で睡眠の投資的側面を解説している部分は少ないです。
はっきり言ってしまえば『睡眠こそ最強の解決策である』に書かれている睡眠の効果を複利効果のように考えることができるのであればあえて『眠る投資』を読む必要性はないかもしれません。
もっとも、前述した通り私がトリプトファンの重要性を意識したのは本書が初めてでした。
他の本に書かれているにもかかわらずです。
おそらく本書には食事についての記述が丁寧に書かれていたからというのもあるでしょう。
良書であることには違いないので本気で睡眠の質を高めたければケチらずに読んだ方がいいでしょう。
まとめ
情報レベルでは必読ではないかもしれませんが、一読すると睡眠についての意識が高まります。
また、日光を浴びる時間、運動する時間、寝室の室温なども具体的に記載されているので、他書の情報との比較ができます。
必読必携ではないかもしれませんが、一読すれば睡眠の質の改善に寄与することは間違いない一冊といえるでしょう。
5位:賢者の睡眠(メンタリストDaiGo)
信頼性 | ★★★☆☆ |
理論 | ★★★☆☆ |
実践 | ★★★☆☆ |
書名:賢者の睡眠
著者:メンタリストDaiGo
出版社:リベラル社
発売日:2021年8月
価格:1,540円(税込)
おすすめのポイント
クロノタイプという個人差と時間帯の概念
この記事で紹介している本の中で、唯一この『賢者の睡眠』でしか解説されていない概念、それがクロノタイプになります。
クロノタイプとは、人が持つ固有の生活リズムの類型であり、遺伝子によって決まっているとのことです。
具体的には本書では、クロノタイプを以下の4タイプに分類しています。
・朝型(ライオン型)
・昼型(クマ型)
・夜型(オオカミ型)
・不眠型(イルカ型)
タイプによって理想的な起床・就寝時間は異なっていますから、単純に早寝早起きを目指せばいいということにはなりません。
したがって、本書を読めば自分の理想的な起床・就寝時間の目安を知ることができるわけです。
なお、クロノタイプという概念は『睡眠こそ最強の解決策である』においても存在を認められていますので、信憑性のある概念になります。
注意点
著者のメンタリストDaiGoさんは睡眠の専門家ではない
睡眠は専門性の高い分野ですが、メンタリストDaiGoさんは睡眠の専門家ではない、という問題があります。
患者の治療を行っているわけでもありませんので、臨床的な経験を持っているわけでもありません。
言葉は悪いのですが、ご自身で読んだ論文の内容をまとめ直しているだけ、ということになります。
したがって、記述内容に説得力が欠けるという印象を受けてしまうのです。
とはいえ、個人の感想ではなく論文の内容であり、前述した通り『睡眠こそ最強の解決策である』でも裏付けられることもありますので、参考にはなります。
特にクロノタイプについて具体的な時間の記載は本書にしかありません。
朝型ではない人が無理に朝早く起きようとしても上手くいかない可能性があります。
自分のクロノタイプを知っておくだけでも睡眠の計画は立てやすくなります。
私も何時に寝て、何時に起きるか、という計画を立てる際に本書はしばしば参考にしているため、手元に置いておきたいと感じる一冊であることに違いはありません。
まとめ
自分の理想的な起床・就寝時間を知りたいという方は一読をおすすめします。
もちろん、その他の記述も他書と比較していい加減なことが書かれているわけではありませんので、読んで損のない一冊です。
6位:スタンフォード式 最高の睡眠(西野 精治)
信頼性 | ★★☆☆☆ |
理論 | ★★★☆☆ |
実践 | ★★☆☆☆ |
書名:スタンフォード式 最高の睡眠
著者:西野 精治
出版社:サンマーク出版
発売日:2017年3月5日
価格:1,760円(税込)
おすすめのポイント
眠り始めの90分という黄金法則
注意点
おそらく売れているから売れている本
えっ?おすすめのポイントこれで終わり?
と思った人も多いでしょう。
はい、上に書いてある情報で終わりです。
眠り始めの90分が最も大事というだけです。
正直に言うと、私は本書をあまりおすすめしません。
内容だけから判断するとなぜ売れているのか、なぜインフルエンサーの皆さんがおすすめしているのかよく分かりません。
本が売れていておすすめされていることも多く、私自身も買って読みましたので言及しておいた方がいいと思い紹介しているだけです。
いくつか本書の問題点をピックアップします。
①著者の自己顕示欲が透けて見える
②内容が浅い
③軽率な方法の提示
【①著者の自己顕示欲が透けて見える】
文章中でやたらと“スタンフォード”という単語を連発しています。
出版社の戦略かと思ったのですが、著者個人の成果を誇るような文章もあるため、著者の自己顕示欲が随所に透けて見えるのです。
我々が知りたいのは自分の睡眠の質を高める方法であって、著者の自慢話を聞きたいわけではありません。
有益な知識が載っていれば問題ないのですが②③の通りそれも怪しいのです。
【②内容が浅い】
これが一番致命的かもしれません。
眠り始めの90分、つまり黄金の90分、が大事とのことですが、そのために重要なのが毎日の起床・就寝時間を一定にすることだそうです。
特に就寝時間を一定にすることが大事なんだとか。
毎日規則正しく睡眠を取った方がいいことなんて誰でも分かっているのですよ。
他の本にも全部書いてあります。
私たちが知りたいのはその方法なんです。
就寝時間を一定にするのは容易ではありません。
『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』にも書かれている通り、人にはどうしても寝付けない日というのがあります。
また、『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』と『賢者の睡眠』では就寝時間はバラバラになっても起床時間を揃えた方がいい、と指導しています。
再三言っているように就寝時間を一定にするのは難しいため配慮しているわけです。
起床時間であればどうにかなります。
他にも室温について言及しておきながら結論を一切書いていなかったりと。
室温には個人差があるから具体的な温度を提示するのは難しいそうです。
【③軽率な方法の提示】
著者の医師という立場を考えたときにこれも良くないと思った点です。
本書では条件付きながらカフェインとアルコールの摂取をすすめています。
もちろん特殊な条件下であればこれらの摂取も有効かもしれませんが、基本的にカフェインとアルコールは睡眠の質を下げます。
これも他の本に書いてあることです。
また、カフェインとアルコールには依存性がありますから、上手く活用するのは難しいのではないでしょうか。
依存性のある飲み物を適量を適時に飲むという強い意志があるのであれば睡眠不足になど苦しまないと思うのです。
逆効果になりかねない方法の提示は慎重に行うべきでしょう。
医師であればなおさらです。
まとめ
私はこれまで紹介した6冊の中で本書だけはほとんど参照しません。
意図的に避けているのではなく無意識にそうなりました。
おそらく一度売れて有名になってしまったから売れているのであって内容がいいから売れているわけではないと思われます。
初めて睡眠の本を読んだ人には有益かもしれませんが、特定の分野の本を一冊だけで済ますのは危険です。
同一分野の他の本と比較して情報の裏取りをすべきでしょう。
しっかりと色んな本を読めばそこまで内容のいい本だとは思わないはずです。
売れているから気になる、という人は安心材料として一読するのはありだと思います。
私のように。