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【読書ノート】僕らはそれに抵抗できない(アダム・オルター)

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目次

おすすめのポイントと基本情報


【おすすめ度】
★★★★☆(4/5)

【おすすめのポイント】
日頃からインターネットに常習的に触れている人は一読しておくべき内容になっています。
特に、特定のサービスにのめり込んで時間を浪費していると感じている人は必読でしょう。

ネット上のサービスは依存するように作られていることについて説明してくれています。
合わせて対策についても触れられているので、実践的でもあります。

【おすすめしている人】※リンク先はYouTube
・メンタリストDaiGoさん
【ステルス依存】知らないうちに人生狂わすデジタルドーパミン

書籍情報

書名:僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた
著者:アダム・オルター

訳者:上原 裕美子
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2019年7月11日
価格:1,980円

目次

プロローグ 自分の商品でハイになるな―ジョブズと“売人”に共通する教え

第1部 新しい依存症「行動嗜癖」とは何か
 第1章 物質依存から行動依存へ―新しい依存症の誕生
 第2章 僕らはみんな依存症―何が人を依存させるのか
 第3章 愛と依存症の共通点―「やめたいのにやめられない」の生理学

第2部 新しい依存症が人を操る6つのテクニック
 第4章 〈1〉目標―ウェアラブル端末が新しいコカインに
 第5章 〈2〉フィードバック―「いいね!」というスロットマシンを回しつづけてしまう理由
 第6章 〈3〉進歩の実感―スマホゲームが心をわしづかみにするのは“デザイン”のせい
 第7章 〈4〉難易度のエスカレート―テトリスが病的なまでに魅力的なのははぜか
 第8章 〈5〉クリフハンガー―ネットフリックスが僕たちに植えつけた恐るべき悪癖
 第9章 〈6〉社会的相互作用(ソーシャル・インタラクション)―インスタグラムが使う「比較」という魔法

第3部 新しい依存症に立ち向かうための3つの解決策
 第10章 〈1〉予防はできるだけ早期に―1歳から操作できるデバイスから子どもを守る
 第11章 〈2〉行動アーキテクチャで立ち直る―「依存症を克服できないのは意志が弱いから」は間違い
 第12章 〈3〉ゲーミフィケーション―依存症ビジネスの仕掛けを逆手にとって悪い習慣を捨てる

エピローグ まだ見ぬ「未来の依存症」から身を守るために
謝辞

読書ノート

『僕らはそれに抵抗できない』を読む目的

良い習慣形成を阻んでいるのは悪習慣であり、その際たるものがネット依存にあると感じたのでその対策を知ること

これまで習慣についての本を読んで良い習慣を身に付けようと努力してきましたが、ネットのサービスを利用し過ぎて生活のリズムが乱れることがありました。

具体的にはネット麻雀の天鳳というサービスを利用していました。

息抜きの趣味を持とうと思って始めたのですが、なぜかのめり込み過ぎて、酷いときは12時間以上ぶっ続けでやってしまうことも。

麻雀は運に左右されるゲームであり、リアルの麻雀でも極端な事象が起こることはありますが、天鳳はリアル麻雀とは比較にならないくらい異常な事象が続くことがあるように感じます。

いわゆる牌操作というやつですね。

課金するとツモが良くなる、という話もありますが、私がプレイしたところ、課金非課金の問題ではなく、天鳳というゲームにのめり込ませるために、極端な状況を作り出しているように思えたのです。

要は依存状態を作り出すことで天鳳というゲームに長く参加するように仕向けていると。

そこでネットゲームにのめり込み過ぎるのはまずいと思い、本書『僕らはそれに抵抗できない』を読むことにしました。

結果としてネット麻雀からは完全に足を洗いました。
本書『僕らはそれに抵抗できない』を読めば分かりますが、天鳳はまず間違いなく牌操作をしているでしょう。
残念ながら天鳳に限らず、ネット上の偶然が影響するゲームは依存状態を作り出す仕掛けが例外なくあると思った方がいいと思います。

ちなみに、牌操作があるなどというのは弱い人の言い訳だ、という意見もありますが、私の場合、特上卓で50戦して平均着順2.22位と成績だけ見れば絶好調の状態でやめています。

勝ち負けよりも、勝敗に天鳳サイドの恣意が介入している節があり、麻雀をしている感覚がなかったのが天鳳を疑った理由です。
天鳳は麻雀ではなく麻雀風ゲームである、ということ。

それでもIDを変えながらトータルで半荘1000回(合計500時間ほど)くらいやってしまったので我ながら情けない限りですが。

『僕らはそれに抵抗できない』を読んだ感想

ネットのサービスには依存状態を作り出す仕掛けが蔓延している、この事実が分かっただけで私の場合は十分でした。
運営側に管理・操作されているゲームなど馬鹿らしく楽しめない、と思い簡単にやめることができたからです。

本書では依存状態を作り出す仕掛けについていろいろなパターンを紹介しています。

・SNSの「いいね!」
・ネットフリックスのクリフハンガー
・ウェアラブル端末の数値

ネット麻雀の仕掛けを理解し、すっぱりやめたことで本書を読む目的自体は達成できましたが、同じくらい有益な気付きがありました。

それは、

目標追求が慢性的な敗北状態を作り出す

という事実です。

現代社会では目標を設定して生きていくことが重要視されている傾向にあります。

自己啓発本やビジネス書を読むと決まって目標を設定しろ、と言われていますが、私は目標設定の考え方にはかなり懐疑的です。
理由は単純で、設定した目標が上手くいったことがほとんどないから。

目標に対する付き合い方として本書ではシステムを構築して生きていくことを紹介しています。
システムとは、簡単に言えば良い習慣を身に付けるということ。

システムとは、「長い目で見て幸せになる確率を高める活動を、日常的に行う」という意味

133ページ

この考え方は別記事で紹介しているジェームズ・クリアーさんの考え方に近いでしょう。

長期的で壮大な目標を設定し、それを実現することは決して悪いことだとは思いません。
実現することが出来れば、ですが。

ブレイクダウン方式:目標設定→実現

という方式は凡人には、少なくとも私にはハードルの高い生き方だと思っています。

他方、

ボトムアップ方式:習慣構築→自然と人生の質が高まる

こちらは精神的に追い込まれることもなく毎日取り組むことができます。

ネット依存について書かれている本ではありますが、習慣構築の重要性を認識させてくれた点でも本書を読んで良かったと思っています。

『僕らはそれに抵抗できない』の不満点

依存状態を脱却するための解決策についても第3部でしっかり書かれているので、全体としてこれといった欠点のない良書だと思います。

ただし、あえて注意があるとすれば、さすがに病的なまでの依存状態である場合にこの書籍で状況を改善するのは難しいでしょう。

本書の中には寝る時間やトイレに行く時間さえ惜しんでネットゲームに依存する若者の話なども紹介されています。
このレベルの依存になると専門家の治療が必要となるでしょう。

まとめ

ドハマりしていたネット麻雀はやめられたものの、YouTubeやX(Twitter)などはちょくちょく見てしまっており、ネット依存は完全には解消できていません。

ネット上のサービスに限らず、世の中の営利を追求しているサービスは人を依存させる仕掛けを持っている。

自分の時間やお金といったリソースが特定のサービスに過剰に吸い取られているような状況にいち早く気づけるようになったのは本書を読んだ効用でしょう。

QOLの高い生活を送りたければ本書を読まないにしても、企業が消費者に仕掛けている仕組みを知ることと、その脱却策を知ることは必須に思われます。


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