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【読書ノート】WILLPOWER 意志力の科学(ロイ・バウマイスター)

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目次

おすすめのポイントと基本情報

【おすすめ度】
★★(5/5)

【おすすめのポイント】
あらゆる観点から意志力、すなわち自制心・自己コントロールについて解説している名著。

身近な例が豊富なため自分の生活に応用できる

本書の内容で一部覆されたものがあるようだが、あまり影響はないように思う。
この点については後述する。

自制心を働かせたいと思ったらまずはこの本から出発すべきだろう。

【おすすめしている人】※リンク先はYouTube
・メンタリストDaiGoさん
自己コントロール力を秒で2倍にする動画がこちら

書籍情報

書名:WILLPOWER 意志力の科学
著者:ロイ・バウマイスター、ジョン・ティアニー

訳者:渡会 圭子
出版社:インターシフト
発売日:2013年4月20日
価格:1,980円

目次

はじめに 幸せと成功の鍵
第1章 意志力とは何だろう?
第2章 意志力のもとになるエネルギーを高める
第3章 計画を立てるだけで効果あり
第4章 決定疲れ
第5章 自分を数値で知れば、行動が変わる
第6章 意志力はこうして鍛える
第7章 探検家に秘訣を学ぶ
第8章 特別な力
第9章 能力を伸ばすのは、自尊心より自制心
第10章 ダイエットせずに減量を成功させる
結論 守りよりも、攻めの戦略を
謝辞

解説

読書ノート

管理人は「意志力」ではなく「自制心」という言葉を用いた方がしっくりくるので以下では自制心という言葉を用いる

前提:覆された研究結果について

本書『WILLPOWER 意志力の科学』で紹介されている説はすでに覆されている、という報告がある。
ハーバード・ビジネス・レビューの次の記事によれば覆されたのは以下の2点のようだ。

根拠となる記事
意志力にまつわる30年の誤解を解く

覆された2つの説

①意志力は有限という自我消耗説
②糖質補給による意志力の回復

①について、『WILLPOWER 意志力の科学』では意志力は有限としているが、新しい研究では意志力は有限であることは確認されなかったらしい。

②について、『WILLPOWER 意志力の科学』ではグルコースを摂取することで意志力は回復すると書かれているが、こちらも完全に否定されているとのことである。

この2点を考慮して管理人の本書『WILLPOWER 意志力の科学』に対する考え方を述べると、

全く気にする必要なし!

ということになる。
なぜかをこれから説明する。

①について、細かい実験結果で自我消耗説が確認できなかったかどうかにはほとんど意味がない。
重要なのは、人は精神的に疲れる作業や労働を行った後は自制が効きにくくなる、という単純な事実だ。
この事実を否定するひとはほとんどいないだろう。

この単純な事実がある以上、規律のある生活をしようと思ったら自我消耗説を考慮する方が現実的な対策を取ることができる

人間には無限の意志力がある、などと考える方が非現実的だろう。

②について、グルコースの摂取は意志力回復の直接の原因ではないということだが、甘い食べ物などを食べることにより精神的な余裕を取り戻し、自制が効きやすくなるという効果はあるようだ。

つまり、因果の説明が正確ではないだけで、グルコースの摂取自体には効果はあるのだ。

細かいことを言うと、間食をすることは虫歯の最有力原因であるから、意志力回復の効果があろうがなかろうが頻繁に甘いものを食べるのは褒められた習慣ではない。

したがって、②については、

・効果自体は認められる
・効果はあったとしても健康の観点からやめた方がいい

と考えられるので、ぶっちゃけ説が覆されようがあまり影響はないということだ。

以上により、本書『WILLPOWER 意志力の科学』の内容に間違いがあったという事実はあまり気にする必要はない。
本書は良書なので自制心について学びたい人には文句なくおすすめできる。

なお、この件については次の動画でメンタリストDaiGoさんも解説している。

ただ、管理人が思うに集中力と自制心は厳密には違うカテゴリーのように感じる。
また、DaiGoさんの「理論上」などの言い回し(6:17時点)からしても、意志力が無限に続くというのは現実的な考え方ではないだろう。

集中状態などが続き精神が疲弊した場合に自己コントロールが効きにくくなる、ということは我々凡人は当然の現象として想定すべきだ。

『WILLPOWER 意志力の科学』を読む目的

人生を良くするためには自制心を働かせて自己コントロールすることが最重要だと考えるようになった。
そこで、自制心を機能させる方法を知るために本書を読もうと考えた。

良い習慣を身に付けようとしても、自分のだらしなさとぶつかることがある。

私はこれまで習慣構築の書籍を複数冊読み良い習慣を身に付けてきたつもりだが、自制が効かずに習慣が乱れるということが治らない

いくら良い習慣を身に付けても、自己コントロールができないのでは穴のあいたバケツに水を注ぐようなものだと考えた。

そこで、バケツの穴を塞ぐべく自制心に関して名高い本書『WILLPOWER 意志力の科学』を読もうと思ったわけである。

『WILLPOWER 意志力の科学』を読んだ感想

本書を読んで感じたことは大きく2つある。

①科学論文を分かりやすくした内容であり、信憑性・再現性の高さが感じられる。
②身近な例が多いためすぐに自分でも実践できそうな内容が多く、自分の経験則にも当てはまる。

①について、本書は一応自己啓発やビジネス書のカテゴリーに入ると思われるが、内容は科学的に書かれている。

目次を見れば分かる通り、自制心について多角的に考察されているため網羅性が高い

そして各項目について実験結果を引用してくれているため再現性の高さが感じられるのだ。

②について、書かれている内容がかなり身近だ。

例えば、「第7章 探検家に秘訣を学ぶ」では、探検家スタンリーが毎朝必ず髭を剃っていた、字を綺麗に書いていた、といった些細なことが自制心を高めていたことについて書かれている。

髭を剃る、字を綺麗に書く、こういったことが自己コントロールを高めてくれるというのは私の経験則にも合致する。

内容に信頼性があり、実践的な知識も豊富に書かれているところが本書の優れたところだ。

『WILLPOWER 意志力の科学』の不満点

内容については特に不満はない。
覆された説についてはさほど問題ではないことも前述したとおりだ。

強いて内容面の欠点を言えば、本書は自己啓発本やビジネス書というより研究結果を分かりやすく書いた学術書としての側面が強いということだ。

例えば、自制心を機能させるための実践的な方法については研究結果の一環として書かれているのであって、読者に対して方法論を提示するように書かれているわけではない。

太字になっていたり、枠で囲ってあったり、章末にまとめて箇条書きにされている、などということはないので自分で本を読んで自分にとって使えそうな知識を地道にピックアップすることが必要だ。

最大の不満は本書がすでに絶版になっているということだろう。
2024年4月現在、本書を新品で購入することはできない。

素晴らしい本なので文庫版が出るなり新品を入手できるようにしてほしいと思う。
研究結果が覆っているというのが問題なのかもしれないが。

まとめ

自制心に関する本は他にもケリー・マクゴニガルさんの『スタンフォードの自分を変える教室』やハイディ・グラント・ハルバーソンさんの『やってのける』などがあるが、客観性・信頼性・実践性のすべてにおいて本書『WILLPOWER 意志力の科学』が上回っている

自分の自制心を向上させたいと思ったら、中古でも何でもいいから手に入れて真っ先に読むべき本と言っていいだろう。

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