おすすめのポイントと基本情報
【おすすめ度】
★★☆☆☆(2/5)
【おすすめのポイント】
本書をおすすめできる対象者はかなり限定される。
という2つの条件を満たしている人向けの本だと思われる。
あくまでも治療を目的とした内容になっており、ビジネス書・自己啓発書の類ではないことは心得て読むべきだろう。
普通の人が外部要因を原因として感じる日常レベルの怒りには効果がないように感じる。
【おすすめしている人】※リンク先はYouTube
・メンタリストDaiGoさん
→徳井さん復帰にガタガタ言う人の心理と質疑応答#10
書名:アンガーマネジメント11の方法―怒りを上手に解消しよう
著者:ロナルド T. ポッターエフロン、パトリシア S. ポッターエフロン
訳者:藤野 京子
出版社:金剛出版
発売日:2016年9月9日
価格:3,740円
監修者はじめに
第Ⅰ部 導入
第1章 怒りの諸問題と怒りスタイル
第Ⅱ部 隠された怒りスタイル
第2章 怒り回避
第3章 陰険な怒り
第4章 内に向けられる怒り
第Ⅲ部 爆発的な怒りスタイル
第5章 突然の怒り
第6章 恥に基づく怒り
第7章 意図的な怒り
第8章 興奮するための怒り
第Ⅳ部 慢性的な怒りスタイル
第9章 習慣的な敵意
第10章 パラノイア(恐れに基づく怒り)
第11章 道徳的な怒り
第12章 憤り/嫌悪
第Ⅴ部 結論
第13章 結論:怒りを解消しよう
読書ノート
『アンガーマネジメント11の方法』を読む目的
怒りを日々感じざるを得ない生活環境であるため
・怒りを人生にプラスに作用させる方法を知りたい(プラスの側面)
・怒りを解消・軽減する方法を知りたい(プラスにできなくてもゼロに近づける方法)
と考えた。
理想は①だ。
怒りをエネルギーなどに変換する方法があれば一番良い。
仮に怒りを上手く利用する方法がないのであれば怒りを抑える方法が知りたい。
頭に血が上っている状態だと、仕事や勉強の進捗が著しく悪くなるからだ。
以上のような目的で本書を読むことにした。
『アンガーマネジメント11の方法』を読んだ感想
おすすめのポイントでも触れたように、本書はあくまでも治療目的の本であるため、読者として対象となる人はかなり限られているように思う。
こういった人でなければあまり本書を読む意味はないだろう。
・怒りを人生にプラスに作用させる方法を知りたい(プラスの側面)
このような自己啓発的な観点からの記述は一切ない。
病的な怒りが対象であるため、基本的には怒りを抑制する方法しか書かれていない。
・怒りを解消・軽減する方法を知りたい(プラスにできなくてもゼロに近づける方法)
ではこのような抑制的な方法なら参考になるのかというとやや疑問がある。
というのも、本書に紹介されている方法は自分自身に怒りの原因がある場合を想定しているからだ。
怒りっぽい性格や性質をもともと持っている人の話をしている。
しかも怒ることに依存しているような病的なレベルの人だ。
つまり、ブラック企業において悪質な同僚から嫌がらせを受けていたり、非常識な隣人に苦しめられている、といった外部要因からくる怒りは全く想定されていない。
もし、自分にはほとんど非はないにもかかわらず、他人の悪質な行動から怒りが生じているようなケースでは本書は全くと言っていいほど役に立たない。
相手にしっかりと文句を言ったり、それでもダメなら転職したり引っ越したりする、といった方法の方がはるかに現実的な対策ということになる。
自分にも責任はあるなどと考えて本書の方法を実践するのはあまりにもお人好しと言わざるを得ないだろう。
『アンガーマネジメント11の方法』を読んで良かったところ
じゃあ、何も得るものがなかったのかというとそういうわけでもない。
怒りのタイプを11に分類し、それぞれの特徴がまとめられており、自分の怒りがどのタイプに属するのかを知ることは興味深かった。
それぞれのタイプの解説では確かに自分に当てはまる指摘も多かったため、教養としては参考になるところもあった。
では具体的にどうするのか、ということになると前述したように解決策レベルではあまり参考にならないのだか。
まとめ
不満だらけのレビューになってしまったが、これは本書の性質を私が理解していなかったことによると思う。
本書はあくまで治療の専門家が書いたものであるため、病的な怒り気質を持った人が読者としての主な対象になる。
明確な外部要因のある日常レベルの怒りを扱っているわけではない。
自分の怒りが病的なものではなく真っ当な怒りである場合は、本書のような心理学的な方法は参考にならないだろう。
怒りの原因となっている人に対して直截的な行動を採るべきだ。
3,740円という値段を考えても、自己啓発的な観点からおすすめできるような本ではないというのが正直な感想だ。