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【読書ノート】それでも強い日本経済!(エミン・ユルマズ)

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基本情報


書籍情報

書名:それでも強い日本経済!世界は新冷戦へ突入
著者:エミン・ユルマズ
出版社:ビジネス社
発売日:2018年9月21日
価格:1,650円

書籍目次

・はじめに
・第1章 日本の明日をポジティブに考える
・第2章 世界は“新たな冷戦”の構造へ
・第3章 仮想通貨とVIXショック
・第4章 日本の無理と無駄と弱点、そして強味
・第5章 複眼経済塾流株式投資の心得
・おわりに

書評

本書を読もうと思った理由は、Twitterでエミンさんのことを知り、その考え方に触れたいと思ったからだ。
もちろん、その知識を投資に活かすということが前提にある。

とりあえず、エミンさんの処女作から読み始めたのでその感想を章ごとに書いていく。

第1~3章

本書は2018年に出版されているため情報が少し古い。
全体的に時事的な内容を扱っているため、2023年現在だと少し取っつきにくい所がある。

ただ、第1~3章を読んで思ったのは、時事的な問題よりも、本書を読みこなそうと思うとかなりの基礎知識が必要になるということだ。

例えば、世界経済においてアメリカは最重要国なわけだが、その政治の中心となっているのは共和党と民主党だ。
この二大政党について、歴史的経緯を含めてある程度の知識がないと本書の言っていることを理解することは難しいだろう。

他にも、3章ではブロックチェーン、ボラティリティ、ブラックマンデーなどの、金融の基礎知識、歴史的知識を持っていることが当然の前提として話が展開されている。

日本について論じている1章はともかく、世界経済を中心に論じている2章と3章については、専門書ではなく一般書籍である本書の体裁に反して内容はかなり高度に感じた。

第4~5章

本書の前半部分である1~3章と異なり、話題が日本を中心にしているため専門用語が少ないこともありかなり読みやすかった。

日本の大企業の体質の問題や、ソニーのように有望な会社についての記述など参考になることも多い。

ソニーグループ(6758)の株価は本書が上梓された2018年からおよそ右肩上がりで推移しており、2023年8月現在では上梓当時の2倍ほどになっている。
2023年に入り日経平均株価は大きく値を伸ばしているため、エミンさんのソニーに対する分析が的中しているとは一概にはいえない。
しかし、氏の言う日本経済が今後ますます発展していくという基本論調を裏付けているようには思える。

全体的に平易な言葉で書かれてあり分かりやすい日本経済についての記述ではあるが、本書を読んで日本株の個別株投資を行う、というのは少し安易に思えるのも正直なところだ。

具体的な銘柄についての記述もあるがすでに過去の記載であるため自ら投資をするのであれば相応の知識をしっかり養うことが必要であると思う。

まとめの感想

冒頭に書いたように、私個人はエミンさんの主張する日本株の大躍進に乗り遅れたくないと思い本書を読むことにした。

しかし、結果として思ったのは、やはり個別株投資で儲けるには相応の知識が必要であり、2~3冊本を読んだくらいでどうにかなるものではないということだ。

より具体的に言えば、投資初心者であれば個別株投資の前に、NISAなどを利用して王道のインデックスファンドへのドルコスト平均法による積立などで投資の基盤をしっかり作るべきなのではないかと感じた。

エミン・ユルマズさん個人に興味を持って氏の処女作である本書『それでも強い日本経済!』を読もうと考えている人もいるだろう。

そういう人には氏の最新作である『大インフレ時代!日本株が強い』の方がおすすめできるように思う。
なぜなら、発売が2023年3月と新しいため、時事内容が直近のものであり親しみやすく理解しやすいからだ。
それでいて、時事問題を扱いながら氏の投資に対する考え方を論じる、というスタイルは『それでも強い日本経済!』とほとんど変わらない。

エミンさんは最近TwitterやYouTubeなどで人気が高まっているように思うが、素人がすぐに理解できるほど簡単な知識だけを発信しているわけではない(もちろん分かりやすい説明も多い)。

もし本書の知識を投資に活かそうと思うのであれば、自分の本業との兼ね合いなども考慮した上で投資スタイルをある程度確立しておく必要があるだろう。
そのことを確認できただけで、自分にとっては有益な内容だったと思っている。

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