基本情報
【書籍情報】
書名 | ウェブセールスライティング習得ハンドブック |
著者 | 寺本 隆裕 |
出版社 | ダイレクト出版 |
発売日 | 2015年6月30日 |
価格 | 4,378円(税込) |
頁数 | 238ページ |
【目次】
序章 セールスライティングを学ぶこととは
第1章 セールスライティングを学ぶためのマインドセット
第2章 お客さんの行動心理とは
第3章 ダイレクト・レスポンス・マーケティングの基礎知識
第4章 セールスコピーを書くために必要なこと
第5章 リサーチで書くべきことを明確にする
第6章 ビッグアイデアを考える
第7章 ヘッドラインの作り方
第8章 オープニングを考える
第9章 ブレットの書き方
第10章 証拠で信頼性を上げる
第11章 編集をして仕上げよう
あとがき
おすすめのポイント
【おすすめ度】
★★★★★(5/5)
1.意外と地に足が着いた本質的な内容
2.用語の定義や説明が分かりやすく書いてある
3.和書なので洋書に比べて読みやすい
1.広く浅く書かれている
2.定価が高い
3.ウェブに特化しているわけではない
感想
良かった点
1.意外と地に足が着いた本質的な内容
セールスライティングの本はどうしても胡散臭いことが書かれているものが多いです。
売れればいい、みたいな。
本書は真っ当な記述が多いのでちょっと驚きました。
なぜセールスライティングで商品が売れるかというと、その商品が持っている本来の価値を正しくお客さんに伝えることができるからなのです。その商品の価値を超えるようなセールスコピーは、基本的に誇大広告にあたります。セールスライティングの世界では、コピーは商品の価値を超えないとよく言われます。
50ページ
セールスライティングの本を読んでいると、「どう考えても褒めすぎだろ」みたいなものが多いです。
本書は大げさなことが書かれていないので信頼性を感じるというのはあります。
私が一番感動したのはこの指摘です。
僕はこれまでの数年間の経験と「稼いでいる人」が「稼いでいた人」に変わっていく姿を見ることで、副業や起業で失敗するリスクを極めて低くおさえる方法を知りました。それは、今、言ったように、すばらしい商品を作ることではありません。それは、商品を「売る」スキル・技術を身に付けることです。
29ページ
前後の説明と合わせると、副業・起業という自分のビジネスを持つ場合、何を売るか・どんな分野でやるか、ではなく、そもそも「売る技術」をまず身に付けなさい、ということです。
マーケティングがビジネスにおいて最重要知識であることを唱える人は多いです。
例えば、私が以前にレビューしたダン・S・ケネディ氏の「億万長者のお金を生み出す26の行動原則」にもマーケティングが最重要であることが書かれています。

他にもX上だと、
私は本書を読むまでその理由が分かっていませんでした。
みんなが言うからそうなんだろう、と。
本書を読んで理由がはっきり分かったんですよ。
つまり、ビジネスのトップ(社長や起業家)に必要な能力とは「物を売る能力」であり、「売る」ことさえできれば何を扱っても成功できるから、ということです。
この「物を売る能力」こそがマーケティングでありセールスライティングということになります。
自力で商売を始めようとしたときに、何を売るか(商品)やどの分野でやるか、ということを真っ先に考えるのは起業という行為の本質を理解していないことになります。
起業とは自力で「物を売る」能力を振るうことであり、扱う素材が何かは二の次ということです。
これが分かっていないということは、自分のビジネスを持つことの意味を理解していないに等しいのだと思います。
著者の寺本隆裕さんは別の著書である『ダン・ケネディから学ぶ「稼ぐ社長」の作り方』の中で、ダン・S・ケネディ氏の教えとして「社長の仕事は「マーケティング」である」と紹介しています。
何を扱うかはともかく、副業・起業で自分のビジネスを持つ人はマーケターなんだ、ということをはっきり認識させてもらいました。
それだけで私としてはこの本は★5つです。
2.用語の定義や説明が分かりやすく書いてある
本質的な記述が多いことと合わせて、用語の定義から説明されているのも好印象です。
例えば「マーケティング」と言ってもそれがなんだかよく分からないんですよ。
言葉の意味するところが広すぎるんだと思います。
本書では、「マーケティング」の定義について、神田昌典さんとピーター・ドラッカー氏の定義を示したうえで著者独自の定義を載せています。
【マーケティングの定義】
神田昌典 | 営業マンの前にお客さんを連れてくること |
ピーター・ドラッカー | 商品がひとりでに売れるようにすること、またそうなるように商品を変えていくこと |
寺本隆裕 | セールスを楽にするための活動 |
「マーケティング」という言葉が多義的に使われすぎているので個人的にはどれもしっくりこないんですけどね。
それでも言葉を自分と読者双方に理解できるように努めている態度には好感が持てます。
何も説明なく「マーケティング」という言葉を連呼されるよりは余程いいです。
他にも第3章ではダイレクト・レスポンス・マーケティングの基礎知識として重要なキーワードが10個、各1~4ページも割かれて解説されていたりします。
言葉を正確に分かりやすく使ってくれているので専門的な内容ながら読みやすい本でした。
3.和書なので洋書に比べて読みやすい
読みやすいと言えば、洋書と比べると断然読みやすいです。
セールスライティングというとどうしても名著はアメリカのものが多いですからね。
ダン・S・ケネディ氏やジョセフ・シュガーマン氏のような。


それらに比べると事例も日本のもので格段に読みやすい。
著者の寺本隆裕さんは関西の方のようで、エピソードに関西弁が用いられていたりするのも親しみがありました。
気になった点
1.広く浅く書かれている
本質的な内容に絞られているものの、各パートについては十分な情報量ではありません。
例えば、ヘッドライン(キャッチコピー)は読み手を文章に引き込む重要な部分ですが、これだけで分厚い一冊の本が書けてしまいます。ジョン・ケープルズ氏の『ザ・コピーライティング』のような。
本書は全部でたったの238ページしかありません。
この本一冊でセールスライティングを極めるのは到底無理な話でしょう。
どちらかといえば入門書的な内容と思われます。
ページ数が少ないことから次の不満を持つ人も多いはず。
2.定価が高い
本というのは与えてくれる情報に比べれば安いものです。
とはいえ、他書と比較して238ページという分量に対して定価4,378円というのはかなり高い。
ちょっと買うのに躊躇してしまいますね。
この本は出版社であるダイレクト出版がかつて企画でたったの550円で売るということをしたようです。
そのせいかAmazonのマーケットプレイスで「新品」として大量に低価格で販売されています。
まあ、実態としては新古品でしょう。
新古品や中古であればタダみたいな値段で手に入りますから、新品にこだわらなければ定価は問題ではないかもしれません。
私?
ダイレクト出版さんの公式サイトから定価で購入しましたよ。
4,378円払って。
3.ウェブに特化しているわけではない
書名に「ウェブセールスライティング」とあるからウェブに特化した内容かと思いきや、全然関係ないです。
純粋なセールスライティングの本だと思ってもらって構いません。
「ウェブ」に特化したような技術については一切書かれてないです。
まあ、ウェブだろうが紙の広告だろうがやることは変わりませんのでセールスライティングについて学びたい人には大した問題ではないでしょう。
ただ、ブログやアフィリエイト、X集客、note販売などネットの商売に特化した内容を求めている人には合わないかもしれません。
強いて言えば、「今後はインターネットでビジネスをする人が増えるだろうからセールスライティングの技術はますます需要が高まる」ということは繰り返し書かれていました。
要は、ネット社会におけるセールスライティングの重要性、ということですね。
まとめ
副業・起業においてなぜマーケティングが最重要なのかということが分かっただけで個人的には万々歳です。
本書はセールスライティングの情報が広く書かれすぎているので自分のビジネスに直接応用できるというものではないと思います。
使えそうな部分を選んで使うことになるでしょう。
精神面についても基本的な心構えや鼓舞してくれるようなことがたくさん書いてあるので、マーケティングやセールスライティングを学びたい人は早めに読むことをおすすめします。